阿修羅の祈り
日本で一番有名なブツは、間違いなく「東大寺の大仏さん」だろうが、仏像好きの間で日本で一番人気のブツとなるとなかなかに難しい。
国宝第一号の広隆寺の弥勒菩薩という人もいるだろうし、浄瑠璃寺の吉祥天という人もいるだろう。いやいや、やっぱ円成寺の大日如来っしょというマニアもいるだろう。僕としては現時点ではやはり法隆寺の百済観音と中宮寺の如意輪観音を挙げておきたい。
そんななかで、仏像好きの多くは興福寺の阿修羅像を挙げるだろうと思われる。
とにかく人気者である。
その美しい表情はよく夏目雅子に例えられるが、そろそろ夏目雅子と言われてもピンと来ないヒトも多くなってきたんじゃないだろうか(つーかオレもよく知らないし)。
要するに「阿修羅=アイドル」ということである。
今で言えば「阿修羅=椎名林檎」ということになるだろう。
阿修羅人気を裏付けるかのように、東京国立博物館では「阿修羅展」なるものが開かれる。
これは相当すごいことである。
なぜなら興福寺という寺は千手観音やら金剛力士像やら薬師仏頭やら錚々たるスター仏(通称スタブ)たちがひしめいているオールスター寺院なわけであり、彼らを差し置いて阿修羅がワンマンショーを開くなんて普通では考えられない。
なぜなら、阿修羅は八部衆の1人であって、本来表に出るようなキャラではないからだ。
要するに阿修羅はADみたいなもんである。
千手観音がステージに登場する前に「はい、本番5秒前です!」みたいなことをやってる役割であるはずなんである。
それなのにタレントである千手観音を差し置いて、スポットライトを浴びるAD阿修羅・・・。
仏像の世界も下克上なんだなあ。
しかし何故に興福寺の阿修羅はこれほどまでに人気があるのか。
ま、何故かは見れば分かる。
一目瞭然てやつです。
も、表情の深みがパネエ。
阿修羅の表情、パネエっす先輩。

興福寺の国宝館でも阿修羅ゾーンは一際人気を集めており、ババアどもが阿修羅の周囲をディフェンスしているので(彼女たちのゾーンディフェンスたるや鉄壁であり、ヤツラこそ阿修羅と呼ぶにふさわしい)、近づくのも一苦労である。
ようやくババアどもが立ち去り、心を落ち着けて阿修羅と対面すると、そのあまりに無垢な表情に驚くだろう。
このピュア顔で「阿修羅」って・・・全然修羅っぽくねえよ。
顔と名前が一致しないというヤツである。
その意味では伊集院光も阿修羅ということになるだろう(ならないよね☆)。
そんなピュア阿修羅(通称アピュラ)である興福寺の阿修羅だが、三面六臂の異形の姿なんだけど、不思議と自然な姿に見えるのはやはり作者の力量だろうか。
そして見てると胸が切なくなるこの思いはなんだろうか。
アピュラを見ていると、なんだか自分がとてもひどいことをしているような気がしてくる。
罪悪感というか・・・なんか「オレ、悪いことした?」みたいな気分になってくる。
だってそんな顔してるんだもの。
眉間の皺がキュートだぜ!アピュラ!
体もちっちゃいし、腕とかすごい細いんよね。ポキッと折れそうなくらい(つーかたぶん実際に折れちゃうんでしょうけど)。
儚げですわ。
でも、怒られて悲しそうにも見えるし、逆に見てる人を怒ってるようにも見えるんだよなあ。
そして全てを赦す表情のようにも見える・・・。
悟りが深いぜ、アピュラ!
オレにも悟りパワーを分けてくれ!
阿修羅は元々ヒンズーの太陽神であり、それが心を改め仏教に帰依したときにこんな表情になってる、ということらしいんだけど。
それまでの自分の罪を悔いている表情なんだろうか。
1200年ずっと悔いてるとか・・・反省しすぎっしょ。
つーかオレももう少しいろいろ悔いた方がいいのかなあ・・・。

つーかオレっち、キン肉マン世代だから、阿修羅っつったらやっぱアシュラマンみたく怒りの面があるって思うじゃん?
でもこの阿修羅ったらみんなピュア顔なんよね。
つーかみんな泣き顔。
アシュラマンがサンシャインに助けられたときの三面ですわ。
よし、これから彼のことを「アピュラマン」と呼ぼう。
ところで、この阿修羅、男と女どっちに見えますか?
僕としては少年に見えるかなあ・・・。
なんか「永遠の処女」とか言ってるヒトもいるみたいですが、まあたしかにセックスしたことあるようには見えないなあ。
少なくともガバガバには見えない。
かと言って少女にも見えないかなあ。やっぱ男に見えるなあ。
じゃ、間をとって童貞かな。
永遠の童貞ってことでお願いします。
なんか急に愛着湧いてきたな。
興福寺
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興福寺
山号 :なし
宗派 :法相宗
寺格 :大本山
本尊 :釈迦如来
創建年 :天智天皇8年(669年)
開基 :藤原不比等
拝観料(国宝館):500円



















