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Tanomu single review

南国少年パプワくん / 柴田亜美

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少年ガンガン / エニックス
1991年-1995年
全7巻

なんで今、この漫画なのか、と。
すんません。
 
絵のタッチとか、ギャグの感じとか、ギャグに対して泣きながらツッコムところとか、全然好みじゃないんです、正直。けど、なんか読んでしまった。面白かった。
 
ストーリーとしては、青年シンタローが、自分の所属するガンマ団とかいう軍隊みたいな殺し屋集団からすごい大事な「青い秘石」を盗んで、殺されそうになって、海を漂って、気づいたらパプワ島に流れ着いてて。そこに住んでいる唯一の人間が少年パプワ。パプワは物心ついたときにはパプワ島で親もなく暮していたので自分のルーツを知らない無垢な少年だ。パプワと、その友人たち(人間の言葉を喋るおかしな虫や動物たち)と暮すようになったシンタローが、パプワたちとの暮らしの中で少しずつ優しい心を見せるようになるころ、ガンマ団がついにパプワ島に上陸・・・という感じで。
 
と言っても前半は、ストーリー云々というより、パプワ島の生き物達とパプワのやりたい放題にシンタローが付き合わされて泣きながらツッコむというワンパターン。少女マンガ風(ぷよぷよのイラストみたいな)タッチのギャグ漫画のような感じ。全然好みじゃないんです。さっきも書いたけど。
 
ところがどっこい!後半は物語がどんどん動いてく。もともと「月刊少年ガンガン」に連載されていただけあって、後半は少年漫画らしくバトル漫画になっていきます。キャラクター設定も王道を行っていて、「火の使い手」などの特性を生かすバトルや、「敵となった師匠との戦い」など、まるでセイント星矢のような王道っぷりは、子供たちも楽しく読めたはず。もちろん、淡い恋の物語がきちんと入っていたり、心温まる道徳的なエピソードも散りばめられていて、そのあたりは見事な少年漫画といった感じ。
 
だけど、連載開始当初に作者がどこまで意図していたのか知りたいくらい、ストーリーは複雑に。親が自分の手で子供をすり替えていたり、魂が肉体を離れて入れ替わったり。
そして、「秘石の一族」にしかない特殊で空恐ろしいパワーが、シンタローに、そしてパプワにもあることが分かってから、今度は謎解き漫画の要素が大きくなります。青い秘石とは何なのか、誰が作ったのか、「赤い秘石」の存在とは?なぜパプワにも秘石のパワーが…。パプワのルーツとは、パプワとシンタローの出会いは偶然なのか運命なのか、神の意思なのか。神とは何なのか、赤の一族、青の一族とは何か。血とか祖先とか、箱舟とか星とか、そういう大きな話に発展していく。自分の正体とは何か、使命は何か、この島のために、この星のために自分に何ができるのか、パプワやシンタローは気づいていく。
 
この漫画の「ターゲット世代」の心で採点すると、ギャグ漫画時代は4点、バトル時代は5点だけど、後半の謎解きを畳み掛けていくカタルシスとバトルとの融合は素晴らしく、9点。平均6点。少年向けのメッセージ性も◎。
 

風の谷のナウシカ / 宮崎駿

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アニメージュ / 徳間書店
1982年-1994年
全7巻 
 
映画とぜんぜん違う。それが最初に読んだときの感想です。
まず、各単行本の最初のページにある前文を。
「かつて栄えた巨大産業文明の群は時の闇の彼方へと姿を消し、地上は有毒の瘴気を発する巨大菌類の森・腐海に覆われていた。人々は腐海周辺にわずかに残された土地に点在し、それぞれ王国を築き暮していた。 −風の谷− そこは人口わずか500人、海からの風によってかろうじて腐海の汚染から守られている小王国であった。」
化学兵器を用いた戦争の結果、現代文明が滅びて、地球が不毛の大地と化した、という、なんか北斗の拳みたいですね。設定としては。
 
で、映画だと、それに懲りずに自分のことばっかり考えてるクシャナ殿下率いるトルメキア軍と、自然と共存しようとする風の谷のナウシカ、という設定なんだけれど、もう、この設定自体が全然違うのね。まず、トルメキアと対立しているのは、風の谷よりもむしろ土鬼(ドルク)諸侯国で、中立的なのが、風の谷と、ほかに「森の人」と呼ばれる人たち、それに蟲使い。ドルクは蟲使いを取り込もうとし、トルメキアは(まー色々あって)利害の一致からナウシカと行動を共にしたり。ドルクが出てこない時点で、原作と映画はもう、別作品と考えて良いと思います。
 
naishikapic.png原作に出てこないところでいくと、ドルク絡みで出てくる「粘菌」てのがあって、オームが住んでる腐海の菌と同じような菌で、でもすごい勢いで巨大化して、もう何もかも飲み込んで巨大化していくんだけど(JOJOのノートリアスB.I.G.みたい)、それが自然の猛威で人類を滅ぼそうとして、ああ、人類は地球にとってもはや害悪なのだ、滅びるしかないのだ・・・と思いきや、実は人口的なものであるということが分かって・・・。これを作り出したのは、トルメキア?ドルク?なんのために?・・・ってのとかね。すごいのよもう。ほかにも僧正とかね、泣けるよね・・・。
 
映画でも出てるところでは、クシャナとかすごい良いんよ、原作だと特に。あの人馬鹿じゃないんよ、すごいわかっとるんよ。で、かわいそうなんよ。ほかにもあの、巨神兵ね、もうすごいんよ。映画みたいにただの平気じゃないんよ!意思があるんよ!あいつ、すごいアツイんよ・・・。そしてオームすらまさか、人間の・・・!?
 
 
というわけで、思い入れが強いあまり、収拾つきませんが、読んでみてください。
子供向けに映画はずいぶん単純化してますが、原作全7巻中、3巻の半分くらいまでが映画の内容に近いです。あとは全然ちがいます。僕は小学生のときに映画を見て、28歳になって原作を読みました。えらい感動しました。大人でも全部理解できません。そのくらい難しいです。でもすごい作品です。
 
主人公以外のキャラクターの描き込み、彼らによって成長する主人公、謎解き、バトル、壮大なテーマ、事態の複雑さに対する簡潔なメッセージ、すべての要素がある。唯一「難しすぎる」という減点を鑑みても、それでも僕は10点をつけます。
 

頼むプロフィール

頼む tanomu

 
tanomu.png 1978年生まれ。既婚、1児の父。
民間企業で5年間身を粉にして働き、粉になったところで公務員に転職。
ラーメンズとゆらゆら帝国と村上春樹が好き。
漫画はほとんど読みません。
 
好きな漫画:
『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦
『ねじ式』つげ義春
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