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マンガヘッド・アワード2007 最終選考作品発表

2007April - 2008 March

受賞作品

mainichikaasan.png
毎日かあさん / 西原理恵子
毎日新聞社
2002年ー
1〜4巻

選考委員コメント

7.png毎日新聞に週一で載ってたよね。
さいばらの家庭やノリを知らないときに時々見ても面白くなかったんですけど、まとめて読むとすごいね。
これが平成の子育てかっていうほどの男の子のワイルドさ。
さいばらもよく怒るんだけど決して悪く言わない。むしろおばちゃんはお前らのようなバカがモーレツにかわいいぞ、と言ってのける広い愛。愛。
現実を笑い飛ばすギャグ。感情ではなく空気で表す切なさ。
絵は、まぁうまいとは言えないよね。
でも海の青や山の緑や、顔を紫色にしたりするところも含めてこの色彩感覚はすごい好き。
(貴族)


10.png圧巻は4巻の元旦那さんが亡くなる話。
西原は絵が下手なのが理由なのか、大事な場面での感情表現を絵にしない。
読者が補完する必要がある。
それが他の漫画にはない悲しみや哀愁を持たせる。
今回の話は家族を失う話だが救いを中心に書いている。
救いは、子供たち。
子供たちがかあさんを救う話。
実際、旦那さんが亡くなってから西原は3か月ほど断筆していた。
どんな絶望感の中にいたのか。想像できない。
そして待った挙句書かれた漫画に救いが書かれており。
感謝の言葉が書かれており。
それは西原が行きついた境地であり。
その0.1%も俺は理解できていないだろうけど、膝が崩れるほど泣いた。
(今岡秀雄)


10.png『ぼくんち』のリアル版とでも言えばいいんだろうか。
現実の話であるが故に、すべてのエピソードが愛しく、悲しく、面白い。
僕も兄と妹の2人兄妹で育ち、小学校のときに父親を亡くしてるんだが、ついつい自分を投影してしまい、お父さんが亡くなるシーンでは脱水になるほど泣いてしまいました。
なので、客観的には評価できませんが、10点ということで・・・。
でもやっぱり子供ってかけがえがないなあ・・・。
次は男の子がほすい。
(くつ王)

最終選考作品

3gatsu.png3月のライオン / 羽海野チカ
ヤングアニマル / 白泉社
2007年-
1巻-

7.png
生きて生活しているとどうしようもなく心が思考の隙間に落ちて行って、その深遠でジ~っとしているようなトキがある。あるよね皆さん。
そこで周りの人が深淵から登っていくための土台を作ってくれる事がある。
土台だけ作ってもらって、自分で登るんです。上がっていくんです。
この作品は、その過程をシッカリと表現できている。
積み上がってる…積み上がってるよ!
読んでてどうしても気分が暗くなるので7点にしているけど、とても丁寧でとても良く描けている良作だと思います。(今岡秀雄)

8.png何もいらないって思いながら生きて行く主人公が周りと触れてやっぱりほんとは自分は何もいらないなんて望んでないって気づいて救われていく物語だよね。
違ったらごめん。
いやーでもいい漫画やわ。哀しい過去の話と、今の温かい話が交互に来るのがたまらん。
よつばとでも思ったけど3姉妹がかわいい。なんでうちは3兄弟なんだろうか。(貴族)

9.png
ほぼ毎回挟まれる河と橋のシーン。
主人公の住む六月町と三姉妹の住む三月町を分つように流れている大きな河はおそらく死と浄化、喪失と再生のメタファーであり、その河にかかる橋は喪失と再生を行き来する主人公たちを意味しているのだろう。
でもきれいな河と橋を描くことで、むしろ物語は暗くなりすぎず、美しく澄んだイメージを留めている。
うーん、この人は天才ばい。(くつ王)


uchukyodai.png宇宙兄弟 / 小山宙哉
モーニング / 講談社
2007年-
1巻-
8.png宇宙飛行士を目指す話と言えば「度胸星」を思い出すよね。
宇宙飛行士選抜試験の途中なのでどんどん新しい課題が出て面白くなって、どん
どん魅力的なキャラクターが脱落して切なくなってほしい。
うちの兄弟仲は平均より下なので兄弟仲いいのに憧れる。
でもやはり兄としては弟に追い越されるのは癪ね。身長とか成績とか。
お兄ちゃんがんばれ。でも弟は夢を叶えて宇宙飛行士になって、兄を導いて、
かっこいいやん卑怯だ。勝てるのか。(貴族)

8.pngおもろいな~この人。この作者、新人さんやろか。
設定は新しくもないんだけど、細かい仕掛けや会話が楽しい。絵も読みやすい。今後が楽しみ。(今岡秀雄)

8.pngこ、これはすごい。
『宇宙兄弟』というチープなタイトルからは想像できないくらい面白い。
久々に読んでてワクワクして、笑えて、早く続きが読みたいと心から思える漫画に出会ってしまった。
娘を抱きながらリビングでリラックスして読んでいたんだが、あまりの面白さに娘を歩行器に置いて読み直した。
そして、読み終わった後、僕は何を思ったか、宇宙飛行士になるためにはどうしたらいいのかと、ネットでJAXAやNASAの求人を調べていた。
「オレも宇宙飛行士になりてえ・・・」と。
つまり、そういう漫画です。
何が面白いって、やはりこの作者のユーモアのセンスなんだろうな。
読んでてなんとなく笑いがこみ上げてくる、なんとなく幸せな気分になれる、という希有な才能の持ち主だと思う。(くつ王)


wani.pngわにとかげぎす / 古谷実
ヤングマガジン / 講談社
2006年-2007年
全4巻
8.png古谷実の最新作らしい一番バランスのとれた佳作だと思う。
古谷さんが描くとここまで面白くできるよ!っていう地力がわかる作品ですよね。
主人公は世俗と離れてきたくせに一番常識があるやん。
この作者らしくとっぴなことに巻き込まれていくんだけど、この常識のある主人
公はどうするのかなってワクワクできる。
あと主人公とヒロインの愛すべき馬鹿二人の白昼夢が好き。(貴族)

8.png古谷実にしては暗さ・掘り下げ方が丁度良く、まあ楽しく読めた。
しかし盗撮の話など軽く読むには題材がキツいんだけど、漫画なので目を瞑ります。
現実には起こり得ないような"事件"を無理なく進行して自然と読ませる手腕は相変わらずの天才っぷり。微に入り細に入る会話や設定、絵が秀逸。(今岡秀雄)

7.png古谷実については『ヒミズ』で化けてから熱心に追いかけてるんだが、この作品については少し停滞したかなっていう印象がある。
相変わらずモラトリアムな内容なんだけど、倦怠・厭世・退廃というテーマについてとことん突き詰めた問題作『ヒミズ』(僕の聖書です)、青春時代の儚さや煌めき、惨めさをないまぜにした大傑作『シガテラ』に比べると、テーマがちょっとハッキリしないかなーと。
まあ『ヒミズ』『シガテラ』の両方のイメージを合わせると『わにとかげぎす』になるのかもしれないけど、焦点が絞れてない感は否めないかな。
古谷信者の僕が一番点数が低いのは意外だったけど。
あと、この人は最終回が描けない作家ですね。
毎回最終回には拍子抜けさせられます。
まあわざとやってるんだろうけど、たまにはきっちりとした最終回が見てみたい。(くつ王)


flower.png
6.png青春の日々。
男子高校生が男友達のことをかわいいと思うことなんて一度もないよ。と思いながらもお互いの関係の書きかたとかうまいよなーと思う訳です。
最終巻の気持ちのぶつけあう展開がいい。
主人公は漫画を書いて行くわけですが、オタク要素を抜いたさわやかげんしけんですよ。
ぜったいこっちの生活の方がよいです。
僕は3年間ずっとクラスに男しかいない高校生活だったわけで、あんな楽しい高校生活送りたかったよ!とか思ったけど、部活にたくさん女の子がいたから夏休みの宿題とか一緒にした楽しい思い出とかあるので中途半端な立ち位置。(貴族)

9.pngよしながふみは"普通の生活では踏み込まない領域"を侵すことでグッとおいしいタレが出ている。例えば「あんたは人間関係においてそのヘビーな過去の分、皆より強者の立場に立ったのよ」とか。こういう事実って俺たちが暮らす上ではタブーだと思う。(と言いながら俺もタブー踏み越え型の人間なんだけども。)そこに踏み込む事は爽快感があり、ある種の優越感もあるんよね。あ、俺嫌な奴だ。
それから一つ一つの会話が好き。どこが優れてるっていうわけではないんだけども、空気感というか間というか。もうね、イチイチ楽しい。

また、登場人物も奇跡レベルで気が回る。気の遣い方がカッコ良い。他人や家族に対する想いも複雑でありながら優しく、読んだ後は自分の心がフワ~っとなるんよね。
フラワー・オブ・ライフ。ピッタリのタイトルだ。(今岡秀雄)

7.png前半は高校時代って楽しかったよなーって感じ。
友人の丸い彼が、僕の高校の友人の亀田くん(カメシュー)を思い出させてくれる。
これといった展開はなく、淡々と進んでいく感じも好きです。
で、後半、舞台が高校からだんだんと離れ出してからが俄然面白くなる。
タイトルの意味が分かったときは「やられたー」と思いました。(くつ王)


historie.png7.png主人公の英知が革新的なモノをもたらしてドラスティックに話を転がしていくのが楽しい。
文明が進んでいく瞬間に立ち会っていくわけですよ。
古代の人たちの想像の外にあるものを目の前で見せられるってどういう感じなんだろう。
驚いて感心してそばにずっといたくなる。
自分の横にドラえもんがいたらと同じ感じ?
岩明さんの淡々とした感情描写が、今みたいにいろいろ複雑じゃなかった昔の人々を描くのによく合ってる。
これからの長く続くであろう展開をずっと見て行きたい漫画。

10.pngとにかく見せ方がうまい。岩明均さんは震えるほど面白い物語を創造できる数少ない作家だと思いますが、歴史作家としてもストーリーをここまで魅力的に書けるんなら何も文句ないです。
今、一番続巻が楽しみな作品。(今岡秀雄)

7.png岩明均は僕のフェイバリット漫画家の一人である。
なので、このマンガには非常に期待してるんだけど、期待が大きすぎて少し厳し目の評価になってしまうと思うけど・・・。
ま、今のところはまだそこまで面白い展開には来てないかな、と思う。
もちろん村を侵略から救うシーンなどは「岩明よのう・・・」と思わず詠嘆せずにはいられない面白さなんだが。
つーか毎回欠かさず読んでるんだが。
それでも歴史シリーズとしての大傑作『雪の峠』を先に見せられてるわけなので、「まだまだこんなもんじゃないだろ」と思ってしまうんよね。
今はまだいろいろと伏線を張っている段階のようなので、これからの展開に期待ってことで。
でもたぶん、岩明先生がここまでじっくり腰を据えて描いてる漫画はこれまでにないと思うので、壮大な話になるんだろうな・・・。
つーか、これが遺作になるんじゃねえかっていう。(くつ王)


hataraki.png9.pngこの人の漫画あまり読んでないけどこんな信念ガッツリの熱い漫画書く人じゃなかったよね?
これ読むと俺はあんまり仕事してこなかったんじゃないかと不安に思ってしまう。
俺も主人公みたいに仕事したー!って言って死ねる人間になりたい。かっこいい。
しかし、でも、仕事人間より仕事家庭趣味の三権分立。が僕の理想なのだ。
まぁ確実に5年後くらいから仕事に埋まる生活になりそうです。
がんばって三権分立したー!って言って死ねる人間になりたい。(貴族)

7.png作者特有の笑いのセンスは影をひそめるが、仕事を続ける上での葛藤や人間関係などよく表現できていると思います。
但し家に帰ってまで仕事する様に自分を投影してしまってテンション下がることがあるのが辛いの。
ともあれ、安野モヨコさんが早く復帰してくれることを望みます。
やっぱ続き読みたいんす。(今岡秀雄)

7.png仕事ってなんだろうね・・・。
いや、ホント、仕事ってなんだろう・・・。

僕が研修医の頃に連載が始まって、その頃は僕も医療に燃えていたので「オレも負けてられっかよ〜☆」って感じで夢中で読んでたけど、医者として5年目の今の感覚で読むとちょっと主人公の仕事頑張ってる感じがキツいなー。
そもそも医者って頑張ればいいってもんじゃないんだよな・・・。
うーん、仕事ってなんだろうなあ・・・。
オレ・・・やっぱりできれば仕事せずに家族と過ごしたり寺巡りでもして暮らしたいな・・。
つーか医者なんか仕事としてやるもんじゃないよ・・・ボランティアだよボランティア。

そんなとりとめのないことを読みながら考えてしまう。
安野モヨコのマンガはこれまで一貫して、現実逃避としてのマンガでは決してなく、現実と戦うための起爆剤としてのマンガとして機能してきた。
結局、現実と戦うしかないんだよな・・・。
しょっぱいなー、実際・・・。(くつ王)


oohuri.png10.png僕の生涯でこれを超える野球漫画は出てこないだろうと断言できるほどの傑作。
作者の愛と設定の細かさが尋常じゃなくて、全てが活き活きと描かれてるのね。
主人公たちの性格・思考・微妙な感情やコミュニケーションのもどかしさとなどの描き方のうまさはもちろん、親や応援団の応援のやりとりも細かい。さらに敵選手まで丁寧に性格描くもんだから主人公たちが勝っても負けた敵のことを思うと素直に喜べないという。
試合も配球の読み合い・駆け引きそれに偶然などが幾重にも織り交ざっての熱い試合が展開していくのね。
作者って最初から試合の終わりまでプロット作ってから書いてるのかな。
一打席目はこうでとか前の打者にはこうだったからとか一球ごとに投手捕手打者の感情・考えを描いて行くから勝手にキャラクターが試合作って行きそうだよね。
他にも辛いけど理にかなった楽しい練習風景とか、科学トレーニングとか、うじうじした主人公がトラウマを乗越えるシーンとか、めちゃくちゃ面白さのつまったさわやかさ青春高校野球漫画です。(貴族)

9.png
圧倒的に面白い。文句なし。言うことなし。
スポーツを頭でやる、その背景まで書き込むっていう漫画は多くなってきたけど、(ex.ラストイニング、Giantkilling…)おお振りが抜群。
野球漫画としても主人公の気弱な性格や投球スタイルだけ取ってみても画期的。他のスポーツ漫画だったら気弱な主人公はピンチに覚醒するんだけど、うまくスポーツ科学を使ってそのままの気質でうまいこと日本の野球をやっとる。斬新で今んとこ飽きが来ません。(今岡秀雄)

8.pngもう何年目か分からないけど、9巻まで来てテンションが落ちないなー。
それどころかますます面白くなってきてる。
これまでの高校野球漫画になかった「戦術」「かけひき」という要素を厭味にならない絶妙な加減で導入し、そこに王道としての青春野球漫画と、主人公のトラウマからの解放という要素をブレンドするという、離れ業を成し遂げているまさに奇跡的な作品。
ただ、敵チームまでこんなに細かく描いちゃっていいの?
1試合がこんなに長くて大丈夫なの?
どこまで描く気なの?ってとこは少し心配。(くつ王)
 
 

ノミネート作品

4月中旬に大賞が決定!

hyougemono.jpgyotsuba.pngmainichikaasan.pnghistorie.png3gatsu.pngkaiju.jpgkinou.jpguchukyodai.pngflower.pngvinland.pngpunpun.pngrin.pngwani.pnggente.pnghataraki.pngoohuri.pngmoyasimon.pngzeni.pnggiantkilling.pngtomehane.png 

ノミネート作品(順不同)
『へうげもの』山田芳裕
『よつばと!』あずまきよひこ
『毎日かあさん』西原理恵子
『ヒストリエ』岩明均
『3月のライオン』羽海野チカ
『海獣の子供』五十嵐大介
『きのう何食べた?』よしながふみ
『宇宙兄弟』小山宙哉
『フラワー・オブ・ライフ』よしながふみ
『ヴィンランド・サガ』幸村誠
『おやすみプンプン』浅野いにお
『RIN』新井英樹
『わにとかげぎす』古谷実
『GENTE』オノナツメ
『働きマン』安野モヨコ
『おおきく振りかぶって』ひぐちアサ
『もやしもん』石川雅之
『銭』鈴木みそ
『GIANT KILLING』ツジトモ × 綱元将也
『とめはねっ』河合克敏 

選考基準

選考委員

くつ王(東インド会社 代表取締役)
今岡秀雄(マクドナルド新町川村店店長)
貴族(貴族)

 
選考方法

選考委員3名がそれぞれ1位-5位を決定し、1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点の点数を付け合計点で最も多かった作品を大賞とする
もしくは話し合いでノリで決定する

 
選考対象

2007年4月から2008年3月の期間で連載中である、もしくは連載を終了した作品
もしくは選考委員がたまたま2007年に読んで感銘を受けた作品