あらすじ

佐藤大輔 / 伊藤悠
2004-2007年
ウルトラジャンプ / 集英社
全5巻
氷雪舞う「皇国」最北の地に鋼の奔流が押し寄せた。最新の装備に身を固めた「帝国」軍の破竹の進撃に「皇国」軍は為す術なく壊走する。敵情偵察を命じられた殿軍の兵站将校、新城中尉は僚友の為、剣牙虎の千早と共に死力を尽くし、敵の猛攻に立ち向かうが…。
くつ王

ま、面白い。
これは面白いですよ。
戦争マンガってこれまであまり好きじゃなかったんだけど、これは敗戦処理を描いているという意味でユニークだし、戦術とか、勇ましく軍を率いている将の細かい心理描写もよく描けてると思います。
ただ、はじめから世界観が完成されてまくってるんだけど、その「マニア臭」のする世界観になじめないオレがいたのもまた事実ではある。
いきなり用意された世界観になじめるほどピュアなあの頃のオレじゃないからさ。なんとか世界観を理解して先に読み始めるまでがけっこう時間かかったわけ。
つーかなんだよ大協約って。唐突に何度も出てくるけどさ。なんか都合よくねえか的な。なんかあると大協約じゃんっていう。も、大協約の内容を先に教えときなさいよって話よ。
龍とかもさ・・・ちょこっと出てくるだけで本筋と関係ないじゃん?なんで龍が出てくるん?カッコいいから?まあカッコいいけどさ・・・空気読みなさいよって話でしょ。
虎も別にいらんっちゃあいらんやん?そんな大活躍ってわけでもないし。
もうさ・・・龍とか虎とか・・・十年ぶりにドラクエVを思い出したよね。ゲレゲレは元気かなあ・・・。
あと導術とかもさ・・・なくてもいいじゃん?他に敵の状況知る手段とかあるわけじゃん?
つーか、龍とか虎とか導術とか、そういう世界観なのは前提だから我慢したとして、その世界観が全然活かせてないのがオレ的には納得がいかねえ。
だったら普通の戦争マンガでいいじゃんっていう。
普通の戦争マンガでも十分面白いと思うし、オレだったらそっちの方が好きかも。
あと絵も見やすいんだけど、なんかひっかかるっつーか。上手いが故にオタクっぽさが増してる感じよね。主人公の顔の表情は面白いけど、もう少し遊びがほしいっす。
などと思うオレはこのマンガが想定した読者からはかなり離れているのではないかと思うんだが、それでもここまで読ませるのはやはりこのマンガの内容そのものの力ではないかと(偉そうだなオレ)。
なんだかんだ言って面白いっす。
龍とか虎とかいなかったら9点付けてたと思います。
5巻で唐突に終わっちゃったけど、ま、これくらいでちょうどいいかも。つーか降参したとこで終わりで良かったんではないでしょーか?
今岡秀雄

実はオレはうんこを食べたことがある。
そのときのうんこが美味かったので9点。
たろう

とても面白かったです。
平和だった小さな島国(皇国)が、強大なる帝国に攻め込まれ
ただひたすらに撤退するというストーリー。
主人公の新城直衛が少しはすに構えつつ、
頭を使った作戦でなんとか切り抜けるという展開で、痛快です。
空想世界と現代世界がまざった世界観ですが、
戦争ははほとんど戦国時代から近代(明治くらい)のレベルで
まだ戦いにヒトくささがあります。
このヒトくささがこのマンガのよさなのかなと思うけど、
新城直衛の、弱気をかみしめて一見勇者にみえる姿が
リアルだなぁと思います。
中隊長・大隊長・司令長官の無能さぶりも対比されて
優秀さを引き立たせるというか。
ただ、前フリがありながら終了まで余り意味をなさなかった龍の存在なんかは、
連載が途中で打ち切られたからなのでしょうか・・・。残念です。
貴族

龍という人より上位の存在がいて、人と龍が<大協約>を結んで暮らすファンタジー世界。
白人の容貌で描かれる<帝国>が世界を大きく占め、日本人の容貌で描かれる<皇国>という小国が攻め込まれてしまう。
主人公は皇国の軍人でサーベルタイガーを手足として使う隊の中隊長。
文明はやや昔のレベルで蒸気船が珍しく鉄砲も一度打ったら火薬を込めなおさいといけないような世界。
こういった世界で主人公は敗戦処理を任されてしまい、この絶望的な状況をどうやって活路を見いだすのか。
ファンタジーな世界なんだけど龍が攻撃してくれるわけでもなく、サーベルタイガーが無敵なわけでもなく、戦術によってどうにか戦っていく展開が面白い。
また主人公も難物で戦の才はあるけれども小胆で迷い悩み自己嫌悪しながら隊を率いていくのが実に魅力的。
さらに絵も迫力があって船が荒波に飲まれるところや、白兵戦の乱れるところや、サーベルタイガーの荒々しさがよく書けてて、これは小説の方が楽なのではと思ってしまうくらい。
戦争ものらしく言葉が難しいのと打ちきりになってしまったのが残念だけど、一級品の娯楽ものです。。
頼む

戦国/戦争もの、戦術/兵法もの、狂気/殺戮もの、キャラクター戦闘ものなどのオイシイところが少しずつある、オムニバスもののような内容。
短いよね。おもしろいのにモッタイナイ。味方も敵もキャラクターが立っているんだから、もっと話を膨らませることが簡単にできるだろうに。戦術/兵法を前面に押し出して、JOJOばりの頭脳戦みたいな展開になっていくと面白そうだったんだけどな。頭脳戦の中で、戦術を超えた狂気殺戮がまたキラリ光ったり。そういう展開が見たかった。
要素が多いのに全体量が少ないので、各要素の総量が少なくて、読後のスッキリ感、読破感がなく物足りない。もっとたくさん読みたかった。
点数は、「げんしけん」の5点、「ハチワン」の6点とかなり近い感じで、『もっと続きが読みたかった』という読後の感想を評価して、高いほうの6点としました。
虎の戦闘シーンは完全に「うしおととら」でしたが、僕はあの作品が大好きでした。
クロストーク
くつ王 × 頼む × 貴族 × たろう 2009.02.02
キャラはビンビンだったか
くつ王: 今日は「皇国の守護者」ですが、まずみなさん一言ずつ簡単な感想をいただけますでしょうか
頼む: もっと面白くなれた。モッタイナイ。
貴族:わくわくしました。
くつ王: なんかオタクっぽいのが鼻についた
たろう:とても面白かったです。続きが気になるマンガだった
くつ王:はい、ありがとうございました。今回は全体的に高得点ですが、たろうと貴族がその中でもかなり支持してますね。たろうなんか10点だし。
たろう: 9点と10点で迷ったけど
くつ王: 初の10点じゃない?
たろう: そうだなーと思いながら10点にしてみた。でもこの基準ならプラネテスも10点かもしれんけどね。
くつ王:じゃあたろうと貴族に熱く語り合ってもらって、僕と頼むが突っ込みを入れていくという感じで進めていきましょう。2人はどういうところが良かったの?
貴族:まずきちんとキャラが立ってるよね
くつ王:うーん・・・主人公以外のキャラってあんま立ってなくない?半立ちくらいじゃない?45℃くらいじゃない?もっとビンビンに反ってほしい
貴族:戦争もので戦いが中心なので、十分だと。まぁ主人公がものすごい中心だけど。
頼む: 味方にひとり、すごい理解者みたいのがいたよね。
たろう: 曹長
頼む: それ。(だっけ?)
貴族: 元上司のたらこくちびる
頼む: 唇の厚い人。そう。(元上司だっけ?)
貴族: 訓練学校の教官とかだったっしょ?水軍の中佐も好きだったよ。やり取りとか。
頼む: 敵も味方も、キャラクターをかなり立たせようとしてるから、それにまつわるエピソードとか、キャラクターならではの戦いとか、そういう発展を期待したら肩透かしで終わってしまったよね。
くつ王:そうなんよね
結局のところ打ち切りが・・・
たろう:やっぱり打ち切りが中途半端さの原因なのでは・・・
貴族: 20巻くらいは続いてほしかったねぇ
くつ王: 大作になりそうな予感を感じさせるだけで終わってしまってるのが惜しいよね
頼む: そうね。そのとおり。終わらせたやつが悪い。一通りの感動すら描き終える前に打ち切り。
たろう: 前フリしたまんまだもんね・・・
くつ王: 前戯だけだよね・・・挿入なしっていう。でもさ、龍とかさ、何なのよアレは。いらないっしょ。龍いらないっしょ
貴族: 確かに。5巻内では、まったくね。
たろう:うん。龍に乗った兵士とかも姿だけだし
くつ王: 導術とかさ・・・いろいろ設定がオタク臭いんよ。なんかさ・・・ファンタジー入っちゃってるじゃん
頼む: 導術に関しては、ナウシカを思い出したなー。
たろう:物語なんだからそのあたりはアリかと思ったよ。
頼む: ちなみに虎のバトルはうしおととらだったし、敵のキャラクターデッサンは、特にこれといって分からないけど、戦記ものの少女漫画みたいだった。ファンタジーは別に僕はいいんだけどね。
くつ王: なんか主人公以外みんな美形っぽい感じが鼻についた
貴族: 美男ばっかりやったね
くつ王: 虎とかもさ・・・いらないじゃん
貴族: 虎は絵的にあってよいと思うけど、話的にはそこまでいらないよねぇ
くつ王:普通に日露戦争っぽい感じでいけばいいじゃない
頼む: 僕は、ただの戦争ものじゃないところは結構好きなんだけどな、ファンタジーいいじゃない。
たろう:導術は、皇国にしかない技術で、というのがいいのでは?でも不完全な感じで使いこなせないけど、相手にないからなんとかそれで対抗するという感じが
頼む: そういう意味では、七夕の国と似てる。
くつ王: いやいやいやいや一緒にしてほしくない!
頼む: 作品としてじゃないよ、導術がその国のみが守り継いできたもの、という点でね。
貴族:ファンタジー的なものが戦争ものに混じってどう折り合いがつくのかが見物だったよ、僕は。
たろう: そもそもこのマンガの面白みは確かに戦争ものとしての面白みではあると思います。はい。
くつ王: 必然性がないのよ、オレがいいたいのは。必然性が!
頼む:非現実的で、超無敵みたいに感じられる要素(虎とか竜とか術とか)があるのに結局、兵法とか人間の心の裏を読むみたいな部分が面白いのではないかと。JOJOにも通じるものがある。スタンドの能力だけでなく、人の心の戦いだということろが。だから、僕は術も竜も虎も肯定します。
くつ王: JOJOはスタンドがあってなんぼじゃん?皇国はなくてもいいじゃん
貴族: だよね。虎も20人力くらいまでだし。まだまだ上手いこと活かせてないけど、ファンタジーものがなかったらキャッチーじゃないよ。読者を掴みにくい。
くつ王: 龍とか虎とかさ、なんか雰囲気で出してるだけじゃん。そう、キャッチーさを入れてるわけよ。J-POPですわ
貴族: 頭から、戦争もの好きなひとしか読まないよ。
くつ王: GREEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEENですわ
頼む:つかファンタジーの要素を抜くと、もう魅力がない。三国志を読む。沈黙の戦艦を読む。掃いて捨てるほどあるマンガの中で、ファンタジーと兵法ものの融合というのは良いと思う。
たろう: それは確かに同意見です
くつ王: 必然性がないんだって。融合できてないんだって。出してるだけだから
貴族: 原作見てないけど、きっと、きっとあの後から竜がすごいことなるんだって
たろう:サーベルは主人公が一番なつかせてる、というあたりが
頼む:そういう気がする。僕も原作よんでないけど。
たろう:主人公を光らせてるかなと
貴族:龍と契約を結んでるのはほとんどいないっつって伏線はってたじゃん
たろう: 原作はちょっと気になるけど。ファンタジーものの予想ができて小説としては読めないかもしれんね・・・。
貴族:虎とか龍とかお偉いさんのつてとかないと一中隊長が頂点まで短期間で登り詰められないよ、たぶん
くつ王:でもマンガは5巻までだからさ・・・
たろう:やっぱり点数を減らしたくなってきた
頼む:この漫画の悪いのは、5巻で終わったことがすべてだと思うね。
たろう:そのとおり
頼む:僕は基本、この作品は肯定なんだ。
くつ王:でもやっぱり5巻までで評価するべきでしょ
頼む: きちっと描き切ったら、8点はくだらないと思うんだけど、5巻で終わったから、僕は6点しかつけてないよ。だから僕は、おもしろいのに点が低いという珍しい採点になってるんだけど。
たろう: 読んでる途中のワクワク感はとてもよかったよ
くつ王:いや、面白いんだけどね。なんかよく分かんないキャッチーな要素が活かされないまま終わってるわけよ。虎だって別に大活躍ってわけじゃないでしょ。あれが強い人間の子分でもいいわけじゃん
頼む: その辺も、5巻で終わったからそうなったんだよ。くつ王は、あれがもっと続いても、おもしろくなかったと思う。?
くつ王: 内容次第だろうけど、龍とかファンタジー系に行っちゃうとついていけないと思うなあ
たろう: 強い子分だったらしゃべらないといけなくなるっていうか。なんというか、動物には動物なりの意味合いがあるとおもうのよ。例えば、導術師は人だったけど、レーダーでもいいのかっていう
頼む: いい例だ。
たろう: やってることはレーダーと電報だけど、あえて人として登場
頼む: くつ王のその辺の否定は、もっと続けば解決してたと思う?よね?
くつ王:まあ・・・たぶんそうなんだろうけど5巻までなので、なんとも言いようがない
頼む: とすると、あとはファンタジー否定の部分だけが短さで解決できない否定要素だね。
貴族: 政治的にきったないのとかも面白かったんだけど。トップはヘマして末端に尻拭いさせてたりとか、
くつ王: あーあれはいいね。井戸に毒まいたりね。ああいうのは好き
貴族: 上官はボンボンでまったく使えないとか
頼む: 上司のせいで有能な部下が死んでいく。
貴族: 主人公を帰還させてヒーローに祭り上げようぜって政治家が話し合ったりとか
くつ王:ま、その話し合いも・・・結局意味ないけどな!
たろう: やっぱり途中打ち切りが・・・。
リアルな戦争描写
頼む: 有能な若い虎使いが、敵に殺されるシーンとかどうですか?背後からトラが狙うやつ。作戦の裏をかく感じが、JOJOっぽくて面白くなりそうな感じがしたんだけど。いや、あの少女漫画みたいな軍人に殺されるやつ。・・・あ・・・みんなそんな、感動なかったですか。そうですか・・・
たろう:オープニングだよね?最初の戦いで撤退するときの?
頼む: 主人公の名前を言って、まだあの人がいるぜ!みたいなこと言うやつ。
たろう:うんうん。
貴族:長いオープニングが終わっていまから本編が始まるって感じだったねー
たろう:そういえばあのホモのエピソードはいらないね・・・
頼む: あれも、もっと作品が長くなってくると、いろんなエピソードの中のひとつ、になるからそれほどおかしくないんだよね。
貴族: 5巻で終わると知ってあれば、必要ないよね。宿敵のエピソードは盛り上げ要素だよね
頼む: うん、スラムダンクであり、はじめの一歩だよ。すべてのキャラクターにエピソードがある。
くつ王: 宿敵のエピソードは盛り上げてたけど、味方はそれほど盛り上がってなかったよね?
頼む: 終わったからね。なんとも。
貴族: ほとんど死んでいってしまったしね。
くつ王: 小隊長とかさ・・・もうすこしエピソードあっても・・・
頼む: 確かに、そうかも。
くつ王: ま、死ぬんだけどね。でも死ぬ前に盛り上げてないと死が盛り上がらない
たろう: 死ぬ、という意味ではあそこで終わらせるしかなかったんだろうか・・・ほとんどみんないなくなった。隊としては解散に近い。
頼む:僕はだから、隊の外の人とか、それこそ竜とかを取り込んでのし上がっていくというか、勝ち残っていくマンガになるんだろうと思って読んでたよ。
貴族:どうやって5巻で終わらせるんだろうって思ってたわー。ストーリーとしてさ、主人公の思った通りに進まないのって面白いよね。
たろう:港を焼けないとか
貴族: こうやればなんとか10日間しのげる、ってのが船が転覆してうまくいかなくなるわけじゃん。そしてそれを主人公が知らないって言う。
たろう: 食料隊が実は狙ってたやつと違うとか
くつ王:この時間まで粘ってくれってとこまで必至こいて粘ってさ。とっくに撤退してたってのはぐっときたね。リアルだなあって
頼む:あれは良かったね。
貴族: これ全滅するんじゃねえか、大丈夫なのかって全てを知ってる第3者はハラハラ。
たろう:そのあたりが本当の敗軍らしいという感じ
貴族:辺境で蛮族の操る獣に殺されて死にたくなんかない、とか、さんざん味方を殺しといてあげく降参した敵軍を殺せないなんて無念だ、とか分かるよね。
くつ王: でも捕虜になっても待遇が良かったりして・・・大協約ってなんだよ!っていう
たろう: そのあたりは現代的だ。龍の保護と不干渉も大協約だったけど、それはまぁよくわからない。戦争は近代で物語は太古で、人は現代でという感じなんだろうか。
くつ王: まあそろそろまとめると・・・残念だ、と
頼む:はい、とても残念です。
たろう: 途中で終わったことが。
貴族: 5巻までっていうのとファンタジーがっていうのが今回の主題だったねぇ
たろう: 物語、ということに関しては確かに語らずに終わったことは多すぎるね。
頼む: 種を撒いて、実がなるどころか芽が出る前に終わった、っていう感じ。だったら種そんな蒔くなよ!って。そういう怒りとか悔しさとか、残念な気持ち。
貴族:まぁ原作付きで、打ち切りだからしょうがないよねぇ
