め〜てるの気持ち / 奥浩哉


ヤングジャンプ / 集英社
2006-2007年
全3巻
なんつーか・・・奥浩哉も普通の人間っつーか・・・凡人だったんだなあ、と。
ある意味安心しました。
『GANTZ』が凄すぎるんで、もしかしてこのヒトは天才なんじゃなかろうかと思ってたんですが、『GANTZ』を休載して始めたこの『め〜てるの気持ち』は、まごうことなき駄作であり『GANTZ』のための充電期間以上の意味はないと思われます。
なんでまたこんなの描いちゃったかな、しかし。
あのまま『GANTZ』描いてれば神と崇められ続けただろうに・・・。
主人公は30歳のひきこもりニートで、会社員の父が更正させようと毎日頑張ってたけど突然癌で死んじゃって、父が死ぬ直前に再婚した20歳の美女が引き継いで主人公を更正させていくというストーリー。
ま、マンガとしてはこの設定はアリなんでしょうけど。
つーかこの設定が描いてみたかっただけなんじゃねえかっていう。
終いにはこの引きこもりと美女がファックスしちゃったりする展開なんだけども。
どうすんのよコレ。
世のひきこもり諸君がコレ読んで「オレも引きこもり続けてれば、こんなステキなサムシングが起きるかも☆」なんて盛り上がるんだろうけども、起きねえよ!いいかげん目を覚ませおまえら!
いや別にオレは引きこもりしてるヤツラ全員に「おまえらはダメだから、働け!それか死ね!」とかは思ってないんよ。
まあ個人個人で理由もあるだろうし、そもそも人間ってそんなに強くないからさ・・・。
ひきこもりたくもなる事情があるんだろう。
「m9(^Д^)プギャー」とか書き込みしたくもなるだろう。
そういう連中にとってこういうマンガは逆効果なんじゃなかろうか。
リアリティーがないし、内容がペラペラだし、引きこもりがコレを読んで「オレも頑張らなきゃ☆」とは思わないだろうし。
引きこもりに向けて描いたわけじゃないとしても、マンガとしても中途半端っすわ。
ただし『GANTZ』は神。
バクマン / 原作 大場つぐみ 漫画 小畑健


少年ジャンプ / 集英社
2008年〜
1巻〜
いやー驚いた。
まさかホントに大場つぐみの正体がガモウひろしだったとは・・・。
ここまでの展開を全く知らないヒトのために状況を整理しておくと、まずすごく基本的なことですが「大場つぐみ」というのは大ヒット作『デスノート』の原作者で、あの緻密な(個人的にはそうでもないと思うんだが)ストーリーを描ききった天才として崇められているヒトです。
そしてガモウっつーのは『とってもラッキーマン』とかいう、ま、控えめに言っても「面白いとは言えない」子ども向けの漫画をジャンプで描いてた漫画家なんだけど。絵が拙くて、読めたもんじゃないっていう。
で、そのヒトの正体が実はガモウひろしっていう噂がネットで広まってて。
いやいや、待てと。
ま、別にオレは大場つぐみのファンでも何でもないんだけど、さすがにそれはないだろう、と。
あの緻密な(だからオレはそうは思わないんだが)ストーリーをガモウが描けるはずはないだろう、と。
だってあいつ、友情マンとか勝利マンとか、なんかそんなしょ〜もないヒーローを登場させてしょ〜もないバトルを繰り広げる漫画を描いてたわけだから。
こいつ才能ねえな〜っつって。
そんなわけで、この「ガモウ=大場」説についてはけっこう熱心に経過を観察していた。
元々は岡田斗司夫とか『幕張』の木多康昭が「大場つぐみの正体はガモウひろしだ」と発言したことが発端みたいなんだけど、その後も『Death Note』に「蒲生ゼミナール」が出てくるとか、そんな細かいネタがいくつかあったんだけど、やはりネットでよくある神話の域を出てなかった。
しかし、ガモウの息子を名乗る男が2chに登場して、再び「ガモウ=大場」説は勢いを増した。
そして大場・小畑ペアの第2作目(ガモウJrによると3作目らしいが)となる『バクマン』が登場したのだった。
どうやら大場つぐみは自分がガモウであることを言いたくて仕方ないらしい。
まずこの表紙。
『AKIRA』のパロディであるのは一目で分かるが、この主人公の机に注目すると・・・


ラッキーマンじゃんっていう。
とってもラッキーマンじゃんっていうっていう。
いやー自らカミングアウトですか・・・ようやくこの論争にも決着が着いた・・・。
やはりこの『バクマン』に出てくる一発屋として描かれている主人公のおじさんは、ガモウ自身がモデルだったんだな。
売れなくなってからも漫画を書き続け、燃え尽きて死んじゃうという悲劇のキャラクターなんだけど。
そして、その甥っ子が、原作者とペアを組んで漫画家としてデビューを目指すという設定は、自身と小畑健のことを投影してるんだろうなあ。
しかし、ガモウひろしを封印して、新たに「大場つぐみ」という謎の原作者で『DEATH NOTE』を始めたというのは少年ジャンプの英断ではないだろうか。
確かに「原作ガモウひろし」って言われたら、誰が読むかそんなもんっていう雰囲気はあるよね。
もうそういうイメージができてたわけよね。
それを大場つぐみという無名の大型新人として売り出すことで、おおっ小畑健が描いてるし読んでみるかってことになる、と。
もしガモウ名義でやってたら、ここまで『DEATH NOTE』が神格化されることはなかったんじゃないだろうか。
ジャンプにやられたぜ!(僕は神格化してないけどね!)
肝心の『バクマン』の内容ですが、文句なく面白いです。
漫画家の目から見た『編集王』といった感じでしょうか。
ガモウがすごいヤツだということを認めざるを得ない、と素直に思います。
ストッパー毒島 / ハロルド作石


ヤングマガジン / 講談社
1996-1998年
全12巻
も、完全に映画『メジャーリーグ』のノリなんだけども。
弱小チームが奇跡の優勝っていう。
王道ですわ。ベッタベタな展開ですわ。
思えばこの後の作品である『BECK』も直球ど真ん中な王道作品だった。
彼の漫画は決して王道から逸れることがない。
それは多くの場合、作品をつまらなくしてしまうもんなんだけど、『BECK』にしても『ストッパー毒島』にしても、その王道さがまた漫画を魅力的にしている。
やはり王道を描くにはそれなりの力量が必要であり、力量のある漫画家の描く王道漫画はまた格別であるな、と王道への偏見を少し改めました。
伏線の貼り方も丁寧だし、キャラクターが個性的で本当にいるかのようにリアルだし(まあ実在の人物もたくさん登場するけど)、チックくんというキャッチーな存在もいて、そしてなんといっても主人公の成長過程の描かれ方が何とも楽しい。
ここまで描けて、やっと王道なんだよなあ。
最近は実力が足りてないヤツラがやたらとスケールのデカイ漫画を描きたがる風潮があるが、身の丈と相談して描きなさいよって話ですよ。
まあ『イキガミ』のこと言ってんだけどね(最近やたらと『イキガミ』を目の敵にしているオレを赦してほしい)。
そして、改めて思うのは・・・「BECK長えよ!」ってことですね。
これくらいがちょうどいいっす。
ヒメアノ〜ル / 古谷実


ヤングマガジン / 講談社
2008年~
〜2巻
冴えない主人公に何故か惚れる美少女。
その周りで巻き起こる陰惨な殺人事件。
既視感バリバリですわ。
も、何回も見た、こういうの。
しかも古谷実の作品で。
『ヒミズ』が最高に衝撃的で、『シガテラ』も残酷な青春というテーマに唸らされ、『わにとかげぎす』で「あれ何か前と同じような内容じゃん」と思って、さすがに古谷信者のオレですらこの『ヒメアノ〜ル』はどうなんだと思ってしまう。
なぜ彼はこんなにも執拗に同じ内容の再生産を繰り返すのだろうか。
まだ描き足りないのか。
これしか描けないのか。
少なくともかつてのギャグ漫画については描く気は毛頭ないのだろう(オレも興味ないし〜)。
でもこの方向性が正しいとも思えない。
だってこれは「深化してる」とはとても言えないただの焼き増しだもの。
同じところをグルグル回ってるだけでしょ。
面白くないのか、と問われると迷わず「面白い」と答えるが、だからと言ってこの作品を賞賛する気にはなれない。
『ヒミズ』で古谷実信者になったオレとしては、アレ以上の衝撃を古谷実に期待してしまう。
お願いだから、早々に連載を終わらせて、次に行ってください。
しおんの王 / かとりまさる + 安藤慈朗


アフタヌーン / 講談社
2004-2008年
全8巻
いや、これはナメてました。
タイトルや表紙の絵から、完全に萌え〜っしゅ専用漫画かと思ってました。
紙袋ぶら下げた男子たちが「今週のしおんは最高に萌え〜っしゅ」「おぬし、なかなか言うでござるな〜」とかキモイ会話をしながら読んでいる漫画かと思ってました。
もちろんそういう向きもあるんでしょうが(なんせ登場人物全員がおかしいくらいに美形っていう)。
おまけに原作のかとりまさるは、実はあの林葉直子!
あの中原誠名人をたらしこんだり、サイババに会いに行くとかぬかして将棋をやめたり、ヘアヌードを出したりした、かのアバズレ女。
もう絶対つまんないに決まってると思って読んだんですが、意外や意外。
これは真っ当な将棋サスペンス漫画として評価するべきでしょう。
全8巻、息をつくヒマもなく読了させていただきました。
ま、将棋そのものにはフォーカスは当てられてない。
というと語弊があるな・・・。将棋についての物語であることは間違いない。
「将棋の抱える業」について描かれた物語といえばよいでしょうか。
この辺は『月下の棋士』なんかと共通するところがあるが、あそこまで狂ってはいないし、中学生のしおんが主役である分、そこのところが上手くカモフラージュされているのだろう。
将棋そのものは、まあ簡略化して描いてある。
ルールを知らなくても読める程度。
穴熊とか、居飛車とか、焦点の歩とか、その辺を知ってれば少しだけもっと楽しめるかもしれないが、あまり関係ないかもしれない。
肝はサスペンス部分であり、将棋のトーナメントと平行しながら少しずつ解明されて行く将棋をめぐる殺人事件はかなりスリリングっていうか。
実際、よくできた物語だと思ったねオレは・・・。
ま、林葉直子は原作っつってもほとんど関わってないと思うけど。
まあ将棋をテーマにした漫画にハズレはないよね。
『月下の棋士』『ハチワンダイバー』『3月のライオン』『しおんの王』・・・。
どれも名作じゃん。
個人的には『3月のライオン』が頭ひとつ抜け出てますけど(自分でもなんでここまで好きなのか分からない)。
個人的な感想としては、「やっぱ娘はかわいい」って感じですかね。
1歳の超かわいい娘を持つ身としては、父親(彼も棋士)に感情移入して読んでしまいました。
娘の成長物語としても読めるので、泣けます。
頼むに勧めたい。
くつ王 プロフィール
くつ王 kutsuo

くつ王
MANGAHEAD管理人。
1978年12月7日生まれの29歳。
某大学病院救命センターで働く医師。
好きなものは日本庭園とマッキントッシュ。
好きな漫画:
『青い車』よしもとよしとも
『ピンポン』松本大洋
『ヒミズ』古谷実
『ザ・ワールド・イズ・マイン』新井英樹
『七夕の国』岩明均





追いかけてる連載中の漫画
『宇宙兄弟』小山宙哉 / モーニング
『働きマン』安野モヨコ / モーニング
『へうげもの』山田芳裕 / モーニング
『きのう何食べた?』よしながふみ / モーニング
『大きく振りかぶって』ひぐちアサ / アフタヌーン
『ヒストリエ』岩明均 / アフタヌーン
『ヴィンランド・サガ』幸村誠 / アフタヌーン
『Gantz』奥浩哉 / ヤングジャンプ
『ハチワンダイバー』柴田ヨクサル / ヤングジャンプ
『おやすみプンプン』浅野いにお / ヤングサンデー
『3月のライオン』羽海野チカ / ヤングアニマル
『もやしもん』石川雅之 / イブニング
『Hunter×Hunter』富樫義博 / 少年ジャンプ
『ピューと吹く!ジャガー』うすた京介 / 少年ジャンプ
『竹光侍』松本大洋 / ビッグコミックスピリッツ
『キーチvs』新井英樹 / ビッグコミックスペリオール
『海獣の子供』五十嵐大介 / IKKI
『預言者ピッピ』地下沢中也 / コミックキュー
