ぼくらの / 鬼頭莫宏


IKKI / 小学館
2004年-
1-8巻
ぼくらの、か・・・。
すごい続きが気になるタイトルだな・・・。
ぼくらの何なのか。
「ぼくらの」ってくると七日間戦争が出てくるんだけど、皆さんどうですか。
宮沢りえって「ぶっとび〜」って言ってましたね。
というわけで、『ぼくらの』の続きが何なのかが気になって読んでみました。
えーと、ストーリーは、夏の臨海学校に集まった15人の中学生が、無理矢理ロボットに乗せられて地球の平和のために敵を倒す、という感じ。
最大のポイントは、ロボットの操縦士は戦った後必ず死ぬということ。
つまり何ヶ月かに一度づつ、契約した少年少女たちが集められ、その度に一人ずつ死んでいく。
なんかコレ見たことあるなー、と思ったら、『GANTZ』ですね。
選ばれた人たちが、普段は日常生活を送ってるけど、何ヶ月かに一度招集をかけられて、無理矢理よく分からない敵と戦わされる。
人が死にまくる。
うん、同じだ。
『GANTZ』はもっとサイバーな感じで、敵を殺しまくるカタルシスに重点が置かれてて、あえて人の命をゴミのように描いてるけど、『ぼくらの』は逆に死に直面した子供たちの葛藤に重点を置いてる。
招集される前に誰が次の操縦士か分かってて、次に死ぬその操縦士の死ぬまでの生き方がしっかり描かれている。
もうすぐ死んじゃう主人公たちがどいつもこいつも不幸すぎてかなり暗〜いマンガになってます。
なので、よく似てる二つの作品ですが、受ける印象は全く違う。
『GANTZ』はもう、アレはぶっとびすぎてて全然リアルじゃないけど、『ぼくらの』はロボットとか非現実的なんだけどある意味リアルで読んでてイヤ〜な気分になる。
少なくともロボット同士が戦って「わーカッコいいー」みたいな漫画ではない。
最後まで終わってから読めば良かったな・・・。
今後の展開次第で面白くなりそう。
2008.04.03
愛すべき娘たち / よしながふみ


メロディ / 白泉社
2002年-2003年
全1巻
結局のところ全ての人は不完全な存在であり、だからこそ愛しい。
そんな当り前のことを5つの日常を綴った短編の中で淡々と描いているよしながふみの短編集。
名作です。
10点以外つけようがない。
よしながふみといえば、男が主役(しかもゲイ率が高い)というイメージが僕の中で強いんだが、この短編集はどの物語も女性が主役であり、「女である」ことをテーマに描かれている。
かといって女性だけに向けて描かれたものではなく、男性が読んでも十二分に面白い内容になってます。
第1話は親離れ子離れする母娘の話。
母麻里が30以上年下の男と再婚し、自分よりも大切な人ができてしまったことに落胆し、娘雪子が家を出る決意をする、という話。
娘の背中をガシガシ蹴る母の姿にけっこう驚きますが、読み進めるにつれてこれも愛情表現なんだなと分かる。
そして娘が出て行くことを決めたときに、蹴りまくってた娘の背中に寄りかかる母・・・この最後のシーンの余韻がいつまでも頭から離れない。
よしながふみという人は、言葉を使わずに表情とか動きだけでいろんな感情を表現できる希有な作家だなーと思う。
第2話はフェラの話(ではないかもしれないがフェラの印象が強い)。
面白いけど、他の話に比べると一段劣るので割愛。
第3話は博愛の女性の話。
全ての人に分け隔てなく接しなさいという祖父の教えを受け止め育ってきた莢子は、気だてのよい美人なのに祖父の介護のため結婚が遅れていた。
何人かとお見合いをしてみたが上手くいかず、足の不自由な男とお見合いをすることになる、という話。
この話が個人的にはフェイバリットなんだけど、あまりにラストが切ない・・・。
人の価値観ってホント十人十色なんだな、と改めて実感しました。
「恋をするってことは人を分け隔てるってこと」という莢子のセリフはかなりグッときます。
ちなみにこの話を読んで僕は妻のことを思い浮かべました。
妻はこの話の主人公と同じくらい気だてがよく美人で、博愛の女性なんだけど(自慢)、やっぱり自分の子供ができると子供が一番かわいいみたいですね。
なので、この主人公もとりあえず結婚して、子供を産めば何か変わったんじゃないか、なんてことを思いました。たとえ夫のことが愛せないにしてもね。
や、たぶん僕の妻は僕を愛してくれてると思いますよ?
第4話は女性の仕事についての話。
夢を持って社会に飛び出したものの厳しい現実に直面して、挫折した牧村と、夢は叶えられなかったものの生活に希望を見いだしながら生きている如月という二人の女性の話。
最後に夢を叶えた友人からの手紙を読んで涙を流すシーンは、作品中で最も美しいシーン。
「みんな不安を抱きながらもなんとか生きている」という如月の言葉に僕も救われました。
最終話である第5話は再び母と娘の話。
第1話の雪子の母である麻里が、その母に「かわいくない」と言われ続けて育てられ、母を嫌うようになった。
麻里の母がそういう育て方をしたのにも、まあそれなりの理由があったんだけど・・・という話。
年下の夫が麻里に「きれいだ」と呪いを解くかのように何度も何度も言い続ける様子を見て、娘の雪子も母にはこの人が必要なんだと実感する。
いい話だなあ・・・。本当にいい話だ・・・。
麻里の娘雪子の「母というのは要するに一人の不完全な女の事なんだ」という言葉に深い感銘を受けると同時に、この短編集は人間の不完全さについて描いた物語なんだと悟りました。
不完全だからこそ人間は愛しいという作者のメッセージ。
深い・・・そして温かい。
最後のページの母の笑顔が素晴らしい。
僕はこれまで漫画を読んでいて泣いたことは何度もあったけど、読み終わった後ふと振り返ったときに涙が出たのは始めての経験でした。
僕はこれから何度もこの作品を繰り返し読むんだろうな。
大きくなったら娘にも見せよう。
この作品を勧めてくれた今岡秀雄に感謝します。
2008.04.02
宇宙兄弟 / 小山宙哉


モーニング / 講談社
2007年-
1巻-
こ、これはすごい。
『宇宙兄弟』というチープなタイトルからは想像できないくらい面白い。
久々に読んでてワクワクして、笑えて、早く続きが読みたいと心から思える漫画に出会ってしまった。
娘を抱きながらリビングでリラックスして読んでいたんだが、あまりの面白さに娘を歩行器に置いて読み直した。
そして、読み終わった後、僕は何を思ったか、宇宙飛行士になるためにはどうしたらいいのかと、ネットでJAXAやNASAの求人を調べていた。
「オレも宇宙飛行士になりてえ・・・」と。
つまり、そういう漫画です。
子どものときにUFOみたいなものを見て宇宙飛行士になる決意をした兄弟の物語で、舞台は2025年、弟はすでに夢を叶えてこれから月に行くクルーの一員になってて、兄の方は車の設計士をクビになったばかり、というところから物語が始まる。
兄は昔から弟よりも先を行ってないと気が済まないという性格だったんだけど、いつの頃からか張り合うのをやめていた。
でもクビになったのを知った弟が、兄にJAXAの宇宙飛行士の試験を受けるように進める。
兄は弟との約束を叶えるために、そして弟と張り合うために、宇宙飛行士を目指す。
というようなあらすじなんだけど、何が面白いって、やはりこの作者のユーモアのセンスなんだろうな。
読んでてなんとなく笑いがこみ上げてくる、なんとなく幸せな気分になれる、という希有な才能の持ち主だと思う。
宇宙飛行士ものといえば、やはり問題作『度胸星』や超名作『プラネテス』や、スペリオールで連載中の『MOONLIGHT MILE』が思い出されるけど、このジャンルに関してはハズレが無いというのが僕の印象。
まあ言うまでもなくこの中では『プラネテス』が頭一つ抜きん出てるけれども、『宇宙兄弟』は今後『プラネテス』を越える可能性を秘めた作品だと思う。
そんなわけで、僕は今日から宇宙飛行士を目指します。
どうやら医者も宇宙飛行士になれるそうです(劇中にも宇宙飛行士を目指す女医が出てきます)。
まずは・・・ダイエットかな・・・。
今なら第1話だけ、ネットで読めるみたいなので、まあとにかく読んでみてください。
絶対面白いから。
http://www.e-1day.jp/morning/special/uchu01.html
2008.03.28
監督不行届 / 安野モヨコ


フィールヤング / 祥伝社
2005年
全1巻
安野モヨコが庵野秀明と結婚したって知ったときはかなり驚き、「まあアンノ同士だから呼び名が変わんなくて便利かも」とか思ったものだった。
あまり関係ないが、僕の友人に東(あずま)という名字だったが結婚して東(ひがし)になったというヒトがいる。
名前の見た目が全く変わんないっていう。
本人も「一世一代のネタ」だと言っていたが、まあ確かに面白し、確かに一世一代だな。
人生かけてやることじゃないかもしれないけど。
で、コレは安野モヨコが庵野秀明との結婚生活を描いたエッセイのようなマンガなんだが、これがすごく面白い。
安野の最高傑作じゃねえかっていうくらい(さすがにそれは言い過ぎですけど)。
庵野秀明がこんなにコミカルなヒトだとは知らなかったし、二人のオタクながらも楽しい結婚生活がとにかく楽しそう。
あと安野モヨコが庵野秀明のオタクワールドに染まっていく過程が見れてとても勉強になります。
うちの妻がマンガにも、日本庭園にも、マックにも興味が無いことを憂いた時期もあったけど、この作品を見て「あ、そうか、洗脳すればいいんじゃん☆」と悟りました。
それ以来、無理矢理マンガを読ませたり、日本庭園に連れ回したり、マックの素晴らしさを延々と語ったりしてます。
最近はようやく教育が実りつつあるようで、とりあえずマンガは『もやしもん』と『3月のライオン』と『ピューと吹く!ジャガー』が好きだそうです。
日本庭園も写真を見るだけで「あ、これは光明禅寺の庭じゃん」と分かるようになりました。
次はいよいよマックを買わせようかと思います。
そんなわけで、新婚の方はぜひ読んでみてください。
家庭円満になること間違い無し。
2008.03.24
未来日記 / えすのサカエ


月刊少年エース / 角川書店
2006年-
1-5巻
あらすじは、未来の出来事が読める12人が神の座を争って殺し合う、という話なんだが、設定がなかなか面白そうな割に、内容が全く面白くない。
絵もあまり好きじゃないんだが、何よりもストーリー展開が絶望的につまらない。
せっかくの面白い設定と異常なキャラのヒロインが全然活かされてない。
未来が読める者同士の対決とかすごい面白そうなのに、平凡な戦いに終始してるんよね。
描き手次第では『デスノート』にもなれるくらいの設定なのに、いやー才能って残酷やわ〜。
というわけで、残念ながらつまらないです。
2008.03.24
くつ王 プロフィール
くつ王 kutsuo

くつ王
MANGAHEAD管理人。
1978年12月7日生まれの29歳。
某大学病院救命センターで働く医師。
好きなものは日本庭園とマッキントッシュ。
好きな漫画:
『青い車』よしもとよしとも
『ピンポン』松本大洋
『ヒミズ』古谷実
『ザ・ワールド・イズ・マイン』新井英樹
『七夕の国』岩明均





追いかけてる連載中の漫画
『宇宙兄弟』小山宙哉 / モーニング
『働きマン』安野モヨコ / モーニング
『へうげもの』山田芳裕 / モーニング
『きのう何食べた?』よしながふみ / モーニング
『大きく振りかぶって』ひぐちアサ / アフタヌーン
『ヒストリエ』岩明均 / アフタヌーン
『ヴィンランド・サガ』幸村誠 / アフタヌーン
『Gantz』奥浩哉 / ヤングジャンプ
『ハチワンダイバー』柴田ヨクサル / ヤングジャンプ
『おやすみプンプン』浅野いにお / ヤングサンデー
『3月のライオン』羽海野チカ / ヤングアニマル
『もやしもん』石川雅之 / イブニング
『Hunter×Hunter』富樫義博 / 少年ジャンプ
『ピューと吹く!ジャガー』うすた京介 / 少年ジャンプ
『竹光侍』松本大洋 / ビッグコミックスピリッツ
『キーチvs』新井英樹 / ビッグコミックスペリオール
『海獣の子供』五十嵐大介 / IKKI
『預言者ピッピ』地下沢中也 / コミックキュー
