サユリ1号 / 村上かつら


ビッグコミックスピリッツ / 小学館
2002年-2003年
全5巻
ダメな男を描かせたら村上かつらの右に出るものはいない。
だめんずなんたらとか、目じゃない。
も、ホントにダメだもの。
仕事してるのに半年間給料もらえてないとか、29にもなって赤白帽かぶってウルトラマンのマネしてるとか、そんなヒトとしてダメっていう感じじゃないんだけど、「うわ〜、コレやったことあるわ〜」とか「あ〜こういう恥ずかしいヤツいるよな〜」っていう、読んでていたたまれなくなる絶妙なダメさなんよね。
たとえばデートに行く前にシャツのボタンを開けるか開けないかで10分くらい悩んでたりするシーン。
あるいは好きな女の子に言われた何気ないことを延々と挙げまくってオレのことを好きなはずだと思い込もうとするシーン。
やるよなーそれ。
うんうん。
分かるわー。
えっと・・・みんなやるよね?
僕だけじゃないよね?
えっ・・・やらない?
おまえら・・・カッコつけてんじゃねえよ!
それくらいやってんだろ!
もっと腹割って話をしようぜ!
ま、それはともかく、彼の描く男のダメっぷりを見てると昔の自分を見るようでいたたまれなくなる。
ちなみに結婚した今では、すっかり「ヤリたい磁場」から脱却して「株・為替で儲けたい磁場」に突入しています。
おかげですごい太りました。
で、この物語はサークル活動(主に飲み会)に勤しむ主人公とその幼なじみのところに一人の女性がやってきて、嵐を巻き起こすという話なんですが。
サユリというのは、主人公が子供のときからズリネタにしてた理想の女性の名前ですが、その入部してきた女性がサユリにそっくりであった、と。
んでこの女が、いろんなサークルに入ってサークル中の男とやりまくって人間関係をぶちこわしまくる「サークル荒らし」をやってるという人格破綻者なんよね。
顔がすごい整ってて性格が破綻してる(パッと見は分からんけど)。

分かるわ〜。
つーか、こういうヤツいたわ〜。
好きやったわ〜(僕は顔がキレイな女性が大好きなんである)。
でも僕はやらせてもらえなかったんだよな〜。
惜しかったんだけどな〜。
や、も、ホントにあとちょっとだったんだけど。
あとは入れるだけってとこだったんだけど。
ここで今、突風が吹けば勢いで入っちゃうってとこだったんだけど(どんな状況だそれ)。
でもホテルに入る寸前のとこで「やっぱもう帰る」って言って男(送り迎え専門)に迎えに来させて帰っちゃったっていう。
若かったな、オレ・・・。
そしてダメだったな、オレ・・・。
それ以来彼女とは会っていません。
風の便りで結婚したと聞きましたが、きっと今もいろんな男とやりまくっているに違いありません。
嗚呼・・・オレもやりたかった・・・。
そういうシーンがこの漫画でも見れます。
あとちょっとのところでやれずに帰ります。
泣けた・・・。
この主人公は、かつての僕なのかもしれない・・・。
2008.04.10
3月のライオン / 羽海野チカ


ヤングアニマル / 白泉社
2007年-
1巻-
河の側に住む17歳の天才棋士と、3姉妹の物語。
テーマは喪失と再生。
僕の大好きなテーマである。
あの『ハチミツとクローバー』の羽海野チカが描く将棋漫画ということで、連載開始時から注目を集めているが、今のところあまり将棋はフィーチャーされていない。
内容は『ハチクロ』と比べると、かなり暗い印象を持つ人も多いだろう。
つーか実際暗い。
3姉妹の華やかさや主人公の友人のキャラクター、河や橋の美しい描写でいくぶん薄められてはいるけど、全体のトーンは一貫して「死」のイメージ。
踏み込んだなあ、羽海野チカ。
物語は第1話から主人公が育ての父と将棋で対局し勝つという『父殺し』から始まる。お、重い・・・。
両親を失った3姉妹の迎え盆と送り盆の話は逆に淡々と描かれていてそれがかえって哀しさを増している。
友人の二階堂もすでに死亡フラグが立ってるような気がするし、これから物語はますます悲しみのトーンが強くなっていくんだろうか。
そしてほぼ毎回挟まれる河と橋のシーン。
主人公の住む六月町と三姉妹の住む三月町を分つように流れている大きな河はおそらく死と浄化、喪失と再生のメタファーであり、その河にかかる橋は喪失と再生を行き来する主人公たちを意味しているのだろう。
でもきれいな河と橋を描くことで、むしろ物語は暗くなりすぎず、美しく澄んだイメージを留めている。
うーん、この人は天才ばい。
なんか『ハチワンダイバー』の帯に羽海野チカが「すごいファンです〜」みたいな寄せ書きをしてたが、『3月のライオン』に比べたら『ハチワンダイバー』なんか子供騙しっしょ。
子供騙しが悪いとは言わないけど、少なくとも僕が好きなのはこういう人生の糧になるような漫画なんですよね。
2008.04.06
イキガミ / 間瀬元朗


ヤングサンデー / 小学館
2004年-
1-4巻
舞台は架空の日本。
現実の日本とは違い、生命の価値を高めるための「国家繁栄維持法」という法律があり、小学校に入学するときに1000人に一人の割合で予防接種のときに致死薬を注入され、18歳から24歳までに死亡する。
自分が死ぬことは、死ぬ1日前まで知らされず、イキガミと呼ばれる死亡予告書が配られる。
このイキガミを配る配達員がこの作品の主人公であり、各回イキガミをもらった若者たちの死亡するまでの顛末が描かれている。
・・・これって『死神くん』だよね。
オマージュとかそんなんじゃなくて、ほぼ丸パクリだよね。
死神じゃなくて人間が死亡を予告するようになっただけじゃん。
いいのかな、こんな露骨な盗作。
しかし映画化とかされるところを見ると、好評を得ているようですねえ。
うーん、納得いかないなー。
ま、これで話が面白ければ僕も何の文句もないところだけど、も、全く面白くないよね。
これはもう完全に漫画をナメてるよね。
若者が死ぬまでの人情劇がすごいチープでつまんないし、主人公の配達員も悩んでるだけで何もしないし。
ついでに言うと絵も気持ち悪いし。
なんか『未来日記』とかもそうだけど、最近こういう物語は描けないけど設定だけは面白いから連載始めましたみたいな見切り発車の作品が多くないですか。
もう少しキチンと描ける人が描けばいい作品になったと思う(まあパクリだが)だけに残念です。
GIANT KILLING / ツジトモ×綱元将也


モーニング / 講談社
2007年-
1-4巻
サッカー漫画を面白いと思ったことはこれまで一度もなかった。
子供の頃に『キャプテン翼』を面白がって見てたけど、あれもくだらなすぎてギャグ漫画として読んでただけで、サッカーの面白さは全く伝わってこなかった。
タイガーショットでも何でもいいけど、とにかくどの漫画もシュート合戦してるだけ。
でも実際のサッカーって全然そんなんじゃないよね。
少なくともシュートに名前とか付いてたりはしないし、そんなことよりもっと戦術とかサポーターの応援とか、いろんな要素があるはず。
『GIANT KILLING』はそんなクソサッカー漫画がはびこる現代社会に警鐘をならすべく登場した現代サッカー漫画である(言い過ぎ)。
とは言ってもこの漫画には『SLUM DUNK』のようなダイナミックな展開はあまりない。
そもそも主人公は監督なので、選手はコマとして動くだけという側面が強い。
しかし知的ゲームとしてのサッカーの醍醐味を存分に堪能できる。
言うなれば、『ウイイレ』よりも『サカつく』のような漫画と言えば分かりやすいと思う。
つーかむしろ『信長の野望』?
なんかそういう戦争シミュレーションみたいなノリに近い。
主人公である監督の選手育成方法や戦術が面白いし、選手たちの個性もしっかり描かれていて単なるコマに終わっていない。
これは売れるに違いないな(もう売れてるけど)。
なんか目の付けどころが『おおきく振りかぶって』に近いよね。
ま、あっちは野球漫画に戦術を持ち込んだだけじゃなく、それとこれまでの熱血やら友情やらスポーツとしての醍醐味やらを見事に融合させるというウルトラCな漫画だからちょっと別格だけど。
でも面白いです。早く続きがよみてー。
2008.04.05
銭 / 鈴木みそ


ビーム / エンターブレイン
2004年-
1-6巻
鈴木みそという人は、決して漫画家として天才というわけではないけど、毎回すごく面白い漫画を描く人だ。
常に人とは違う視点から物事を考えることができて、同時にたくさんの視点から物事を見ることができる。
つまり、とても頭のいい人だということが漫画を読んでて伝わってくる。
こういう人はきっと何をやっても上手くこなしてしまうんだろうなー。
あるいは彼が漫画家じゃなければ、もっと大成してたかもしれない。
と思うくらい、鈴木みその発想は独創的であり、先進的であり、ユーモラスである。
漫画家として見てみると欠点はけっこうあるんだけど。
この銭という漫画は、おそらく始めて彼が挑んだストーリーのある漫画(これまではほとんどが取材に基づいたエッセイ漫画だった)だが、やはり面白い。
内容は、いろんな職業について、どれくらいお金が動いているのか、というテーマで描かれている。
たとえば、マンガ雑誌が1冊作られるのにどれくらいのお金が、どんなところに動いているのか。
人が死んだとき、葬儀にかかる費用はどれくらいで、葬式屋はどれくらい儲けているのか。
カフェを経営するのに必要な経費はどれくらいか。
どれもみんなが興味を持ちそうなものばかり。
そういうのを毎回ストーリー仕立てで説明してくれるんだが、ひとつ欠点を言えばそのストーリーは決して面白くはない、ということ。
鈴木みそは才人ではあるけど、ストーリーが描ける人ではないのかもしれない。
でもそれを差し引いても面白いです。
やはり目の付けどころが違う。
2008.04.03
くつ王 プロフィール
くつ王 kutsuo

くつ王
MANGAHEAD管理人。
1978年12月7日生まれの29歳。
某大学病院救命センターで働く医師。
好きなものは日本庭園とマッキントッシュ。
好きな漫画:
『青い車』よしもとよしとも
『ピンポン』松本大洋
『ヒミズ』古谷実
『ザ・ワールド・イズ・マイン』新井英樹
『七夕の国』岩明均





追いかけてる連載中の漫画
『宇宙兄弟』小山宙哉 / モーニング
『働きマン』安野モヨコ / モーニング
『へうげもの』山田芳裕 / モーニング
『きのう何食べた?』よしながふみ / モーニング
『大きく振りかぶって』ひぐちアサ / アフタヌーン
『ヒストリエ』岩明均 / アフタヌーン
『ヴィンランド・サガ』幸村誠 / アフタヌーン
『Gantz』奥浩哉 / ヤングジャンプ
『ハチワンダイバー』柴田ヨクサル / ヤングジャンプ
『おやすみプンプン』浅野いにお / ヤングサンデー
『3月のライオン』羽海野チカ / ヤングアニマル
『もやしもん』石川雅之 / イブニング
『Hunter×Hunter』富樫義博 / 少年ジャンプ
『ピューと吹く!ジャガー』うすた京介 / 少年ジャンプ
『竹光侍』松本大洋 / ビッグコミックスピリッツ
『キーチvs』新井英樹 / ビッグコミックスペリオール
『海獣の子供』五十嵐大介 / IKKI
『預言者ピッピ』地下沢中也 / コミックキュー
