あらすじ
黒田硫黄 著
2000年~2002年
月刊アフタヌーン / 講談社
全3巻
茄子を共通の話題とするオムニバス短編集。田舎や都会を舞台とする現代劇から、ヨーロッパの自転車レース(ロードレース)、近未来SF、時代劇と幅広いジャンルを扱う。
くつ王
黒田硫黄という人について書くのは難しい。
デビュー作『大王』の帯で大友克洋、寺田克也、よしもとよしともといった面々が絶賛していたんだが、中でもよしもとよしともは自分から合作を持ちかける程黒田硫黄に惚れ込んだようで、そのよしもとよしともに惚れ込んでいる僕としては当然チェックしていた。
天才であることは間違いない。
コマ割りとか、描写とか、画力とか、独創性とか、そこいらの漫画家とは比べ物にならないくらい抜きん出ている。
『茄子』を読み返してみて、つくづく思った。
いやー天才だ、この人。
ただ、じゃあその漫画が面白いかと言われると、「まあ面白い」というところに落ち着いてしまう。
『茄子』も、アンダルシアの夏みたいに凄まじく面白いものもあれば、オッサンが熊に襲われるだけの地味なものもある。
富士山の話とか、江戸時代の話とか、金庫破りの話とか、すっごい面白いんだけどさ。
高橋の話とか、隠居したい青年の話とか、どうでもいいっていうか。
でも全作品を通してクオリティはすごい高いっていう。
難しいなあ。
でも『セクシーボイスアンドロボ』は大好きで、あれは9点あげてもいいかなと。
あの2巻の終わり方って微妙じゃない?
あれって続き描く気はないのかな?
あ、『茄子』の話でしたね。
僕自身『茄子』はそれほど評価してなかったんですが、それでも何故かずっと大事に取っておいてましたね(こないだ裁断したけど)。
なーんかときどき読み返したくなるんよね。
逆に『セクシーボイス』の方はちょっと重いので、なかなか読み返さないんだけど。
不思議な作品です。
この人もいずれとんでもなく面白い作品を作ることになるでしょう。
と預言しておきます。
あと今岡のレビューが、『ナスの間違った使い方』についてのレビューになっているということも預言しておきましょう。
今岡秀雄
アンダルシアの夏の最終コマ。これはマンガ史に残る名表現だと思う。
ただ、最初に宣言するけど、俺、説明できんの。
俺がマンガを読み続ける理由の一つに「説明できない感情を沸き立たせてくれる」というのがあるんすわ。
よしもとよしともを俺が好きな理由は正にこの1点による。
もう解説とかできんの。自分でも分からないっていうか。
あの話で最後に「知らねえか?こうやって食うのさ」。
あ~もどかしい。
いや、凄いだろう。
この表現だけは他のマンガに比べて高次元だと思う。明らかに次元が違う。
どうだこのレビューは。何も言ってないだろう。
何も言えねえんだよハゲ!
もういいよ!
この漫画がレビュー題材に上がった時の俺の「アチャ~」みたいな感覚が全てです。
書けねえんだよ!
表現力ねえなあ…俺…
おナス!
たろう
僕がこの漫画を買ったのは、
東区のそんなに大きくない本屋でした。
まだ学生で(今もまた学生だけど)、週末で、
なにか面白い漫画がないかとふらっと寄った本屋で見かけました。
映画化が決定して、平積みしていたそれをみて
ジャケ買いをしたんだと思います。
特にこの作品を知っていて買ったわけではありません。
この作品は茄子を中心とした短編連作ということになってますが、
軸には元研究者で、今は農業をしているおじさんがいます。
人生をあきらめているのか、楽しんでいるのか。
晴耕雨読の人。
鳥をしめて、岩塩で焼いたり原著で海外の本を読んでいたりと
人生の達人(Master of Life)の風格があります。
僕は結婚をしてから、
ベランダで少しずつ植物を育てるようになりましたが、
そこには育つ喜びがあります。
そして育てる難しさもあります。
この漫画を買ったときには気付かなかった事は
この主人公のおじさんの生き方はいいな、ということです。
貴族
「茄子」がテーマの短編集。
茄子がテーマと言っても主題になる話はあんまりなくて、おっさんやら女子高生やらヨーロッパやら近未来やらのショートストーリーに茄子がアクセントとしてでてきます。
ヒドいときは茄子の料理名が一言会話にでてくるだけだったり。
ゆるーく流れる日常の話が多くて、これからどうしようかーまあいいかー的な話も多くて、
俺も若隠居しようかなー。まぁ無理だからとりあえずビールでも飲むかと思いました。
アニメにもなったアンダルシアの夏とか、熱い話もあります。
新婚の話に出てくる手間のかかる動物だなー的な奥さんとかあんな感じ好きですね。
こういう感じいいねーとか思いながら読む漫画ですね。
でも茄子食いてーとかは思わなかったな。なんでだろうか。
頼む
これ、おもしろい。
これは、腹を抱えて笑う「おもしろい」でも、すごい感動を覚える映画の感想としての「おもしろい」でもなく、ふらふらと上がった打球がポテンヒットになるか凡フライになるか微妙な時に使う「おもしろい」である。
そういう意味で、おもしろいマンガである。
まず設定が微妙で、おもしろい。
茄子、がテーマ、っていわれてもね。
よく描けるなっていう。何話目で「あー、茄子であと、何があるよ」って思ったんだろう。それとも、意外とアイデアは出てくるものなのだろうか。茄子で。
茄子を話の中に織り込んである(まぁ多少強引であったり、卑怯な登場のさせかたもあったけど)という共通点はあるけど、基本的には短編集。でも、数話にまたがっていたり、何度か登場するキャラクターがいたりという、バランスがまた、おもしろい。
作家のアイデア力とバランス感覚に脱帽。
けど、特に盛り上がりやカタルシスがないので(それが良さとはいえ)得点の高騰はなく、この点数で。
クロストーク
くつ王 × 今岡秀雄 × 頼む × 貴族 × たろう 2008.10.26
集まらねえ
10月26日の21時。
そんあれボーイズは、クロストークのためにメッセ上に集まるはずだった。
しかし、時間になって集まったのはくつ王と今岡秀雄だけだった・・・。
くつ玉:何故だ・・・何故誰も・・・
イマオカチョフ:いや信じよう。信じて行こう。飛び出るから、白いアレが
5分経過
くつ玉:もうダメかもしれないな・・・オレたち。その・・・2人で始めとくってのはどうだろう
イマオカチョフ:あ、いいじゃん。徐々に増えていくっていう。ワンピースみたいな手法
くつ玉:じゃあ僕ルフィで☆
イマオカチョフ:俺、サンジがいいな☆
くつ玉:貴族が鼻が長いヤツね
イマオカチョフ:もちろん
くつ玉:じゃあまあ・・・始めますか
イマオカチョフ:フェイス!
くつ玉:まあダラダラやろうぜ
イマオカチョフ:おうビール補充してくる
ここで貴族がメッセにログイン
しかし無視して話を進めていく二人。
くつ玉;なんか貴族がログインして「おまんた!」とか言って話しかけてきたんだけど
イマオカチョフ:おまんたって…反省してもらおう
くつ玉:こっちから呼んでだんだん加えていこうぜ
イマオカチョフ:それよ
くつ玉:選ぶのは飽くまでオレたちだぜっていう
イマオカチョフ:斬新
くつ玉:今岡は、黒田硫黄を知ったのはやっぱよしもとよしともでしょ?
イマオカチョフ:そうだっけなあ…覚えてないけど、きっとそうだと思う
くつ玉:あの合作があったじゃん。おじさんと女の子が月に行くヤツ
イマオカチョフ:おうおう
くつ玉:アレからだな、僕は。アレはよかった
イマオカチョフ:江口寿史の雑誌のやつか
くつ玉:CUEですよ、もはや廃刊気味の
イマオカチョフ:廃刊なのかな。5年は出てないねたぶん
黒田硫黄はすごい
くつ玉:で、黒田硫黄の話ですけど・・・
イマオカチョフ:へい!
くつ玉:レビューでも書いたけど、天才だと思うんですよ
イマオカチョフ:そうやね、ちゃんと読むと凄いね。ただの汚い漫画かと思うけどね最初
くつ玉:そうそう筆圧がすごいから
イマオカチョフ:そのうえ背景とかも結構書き込むから。売れそうな気がしないよね。
くつ玉:うん、この人はずっと売れないだろうね
イマオカチョフ:でも絵だけで言っても構図が面白い。カメラの位置が意外っていうか
くつ玉:そうそう。コマ割りとかも面白いし
イマオカチョフ:あーそうそう。最初読んだ時は、それらで何か違和感あったんだけど頭使いながらちゃんと読むと感心するところが多い。擬音とかも変だし
くつ玉:今岡が書いてた、アンダルシアの最後のコマは僕も好きなんだけど、なんだろうねアレは
イマオカチョフ:よしもとよしともと彼ぐらいじゃねえかって今のところ。いや分かんないんよ
くつ玉:勝利の喜びとさ、彼女が結婚したっていう悲しみとさ、兄貴にとられたっていう悔しさと、兄貴が結婚した嬉しさと、地元に帰ってきた懐かしさと、そういうのが重なって・・・最後あのコマだからね
イマオカチョフ:あの話をまとめるのに、あのコマだもん。も、何も言ってないんだけどまたもや。何を狙って描いたのか、聞いてみたい。お友達になりたい
くつ玉:いいヤツだろうなあ、黒田硫黄
イマオカチョフ:あんま明るい奴じゃなさそう。でも面白いんよねきっと
くつ玉:あー。
イマオカチョフ:この人の絵ってさ、うまいと思う?
くつ玉:上手い下手でいうと、どうかなあ。松本大洋の絵を上手いかどうかっていう問題に近いかなー。もちろん僕はどっちも好きだけど
イマオカチョフ:そうそう、俺は「うまい」だと思うんよね。上手じゃなくて。それうまいな~って感じの
くつ玉:たぶん美術的な観点からいくと「デッサンはできてる」って感じなんだろうけど。すくなくとも「リーダー伝たけし」のヤツの下手さとは違うよね。あれは単にヘタなだけだから
イマオカチョフ:たけしか…(まあたけしはどうでもいいから)硫黄は下手じゃないよね。顔歪んでるコマとかあるけど、伝える力があるんじゃないかな。引き込まれる
くつ玉:筆使うじゃん、硫黄。あれもいいよねえ
イマオカチョフ:あーいい。でもさあ、汚いんよね見た目
くつ玉:うん、まあ一見なんか汚いよね
イマオカチョフ:井上雄彦とはやっぱ違う
くつ玉:硫黄は、井上雄彦みたいにメチャメチャ上手いわけじゃなくて、漫画としては読みにくいけど味があるよね
イマオカチョフ:そ、うまい。ウソップでも呼ぶか
くつ玉:じゃあそろそろウソップを・・・
玉石混淆
ここでようやく貴族をチャットの中に呼び込む
くつ玉:よー長っぱな
イマオカチョフ:狙撃王じゃん
くつ玉:茄子について語ってみて〜長っぱな(※実際の貴族の鼻はそんなに長くありません)
貴族:なかなか面白い。でも結構淡々としてるよね。山奥で茄子を育ててるおっちゃんが話になるって不思議。
くつ玉:まあ起伏はないね。あと、個人的には玉石混淆っていうか。面白い話とそうでない話がハッキリしてるかな、と
貴族:石はどれ?
くつ玉:熊に襲われる話とか
貴族:あー、確かに。
くつ玉:インドに行く青年シリーズも個人的には「うーん」って感じ
イマオカチョフ:でもさあ、まあさっきも言ったけど、絵と構図の意外性で読めるんよねその辺も。あと会話がうまい
貴族:会話のテンポ好きなんよね。
くつ玉;そうそう、そういうのが「うまい」から読ませるんだけどね、もう天才だから。でもストーリーがどうかなーっていう
イマオカチョフ;それそれ、ストーリーなんよあとは。変なとこで大ゴマと見開き使ったりとか
くつ玉:あー、茄子の弁当の見開きとかね
イマオカチョフ;まさにそれ。弁当開くときに見開きとかさ、笑うもん
くつ玉:このヒト、あとストーリーが書ければ、ホントに歴史に残る名作を作りそうよね。セクシーボイスは読んだ?
イマオカチョフ :あーだいぶ前に
貴族 の発言:読んでない。
くつ玉:あっちは、ストーリーもすごい面白いんよ。だからストーリーが書けないってわけでもないと思う。
イマオカチョフ:そうね確かに。でもさ、ストーリーが入ると元々の魅力が薄れるっていうか
くつ玉:うん、茄子にはセクシーボイスにはない引きつけられる何かがあるような気がするのも確か
イマオカチョフ:ゆうきまさみっていう漫画家がいて、俺、すっごい好きなんだけど。SF得意だけど、何も起きない日常を描いた奴があって、やっぱそれが一番面白いんよね。何も起きないからうまさが出るっていうか
貴族:あー。ゆうきまさみに似てるかもね。
くつ玉:それを狙ってるのかもね、茄子も。起伏もなく淡々とした。ただただ「俺の才能を見ろ」っていう作品。確かに才能に唸らさせられるし
イマオカチョフ:べた褒めやねこれ
くつ玉:その割にはみんな点数は普通なんだけどね
貴族:才能あるので次の作品に期待!!!って漫画じゃないのかな。
イマオカチョフ:不満なとこ言えば、キャラクターのテンションがみんな一緒。性格は違うけどさ。起伏がないのはそれも原因だと思う
くつ玉:1話目の少年はテンション高かったじゃん。
イマオカチョフ:いや、テンションっつーか…根柢の価値観っていうか
くつ玉:なんかみんな悟ってる感じはあるよね。諦念と言ってもいいかもしれないけど
ここでようやくたろうと頼むが参加
たろう:どーも。
頼む:お股
くつ玉:よし、これで海賊団がそろった!そろそろグランドラインに行こうぜ!
貴族:空飛ぼうぜ!
イマオカチョフ:女だらけの国に行きたい。いやいや普通だからコレ、っつって茄子入れたい
各自のフェイバリット発表
くつ玉:じゃあ、僕らは一通り話したので、たろうと頼むの話を聞きたいな。たろうは例のごとくマンガの内容については触れてないレビューでしたが、内容についてはどうでしょう
たろう:あー、いつもそんな感じのレビューになってるよねぇ。内容というか、レビューに書いたとおり、あの人の空気感がいいなと思いました。で、なんで8点かというと途中の他の茄子の話がイマイチだなぁと思ったり
くつ玉:そうそう。話の面白さにバラツキがあるっていうのは僕も思ってたんだけど
貴族:あるある
くつ玉:じゃあ皆さん、ここで各自のフェイバリットエピソードを発表してもらいましょうか
イマオカチョフ:ああー面白いそれ
くつ玉:僕はねえ・・・金庫破りのオッサンの話。最後、埋められるヤツ。あれが・・・何故か一番すきなんだなあ・・・なんでかなあ・・・
貴族:あれは前からの話がつながってるのとこもいいよね
たろう:忙しいって言ってるのに、わざわざ歩いて会いに来てるやつね。
くつ玉:あれも最後のコマが好きなんよね。ヤクザが「帰るぞ」「はい」っつって帰るシーン
頼む:こんなこと、なんでもない感。
たろう:茄子の中ではでも一番心にぐっとくるシーンだ。
くつ玉:あと女はホントに振り返らなかった、というとことか。金庫から金とって二手に分かれるとこね。あなたは右、私は左って。いやー、いいなあ
頼む:全部を語らない、というところのバランス感覚がね。臭わせましたよ~、っていうわざとらしさもなく。
たろう:僕が一番すきなのは、またレビューにちょっとふれたけど、あの、寝に来る女の人の話ね。わざわざ鳥を買って、来る前からしめて、血抜きをして、来たときにはまだ岩塩焼き(だったっけ?)が焼きあがってなくて。で、出来上がったときには彼女は寝てるっていう。結局はメインを一人で食べて。でも次の日には残り物で二人で食べて。あの感じって、寂しげではあるかもしれないけど、でも幸せでもあるかなぁって思うのは僕だけですか?
イマオカチョフ:分かる。俺もその話が一番好きでね
くつ玉:あの二人で寝てるシーンはいいよねえ
イマオカチョフ:俺はどっちかっていうと彼の”手法”に興味があるんだけど。多分この人、映画とか映像を意識してマンガ書いてると思うんよ
頼む:ほう。
くつ玉:ほんほん

イマオカチョフ:で、女の人が来る話は、特に光の使い方に凝ってるじゃん。逆光の中で乾杯とか
たろう:うんうん
イマオカチョフ:あれで引き込まれたんだけど。コマ割りもカメラワーク的な動きが多くて
くつ玉:カッコいいよね
イマオカチョフ:最初にこの作品にハマっていったのはこの話の表現技法なんよね
たろう:擬音も臨場感があっていいと思いました。
イマオカチョフ:ちん、とかね
貴族:真っ黒な影に真っ白な光が差し込んでね
イマオカチョフ:というわけで、話というか技法とかがいいんすわ
たろう:僕はこの人の描き方はトーン使わずに筆で描いてるからこそ躍動感がでてるんだと思います。
くつ玉:いや、筆で描いてる話もあるけど、基本的には『茄子』はペンで描いてるんじゃない?
イマオカチョフ:下手なんだけどうまいんよね
くつ玉:筆圧が凄いよね
たろう:その辺の細かいのは僕には分からんけど、黒の使い方が上手だと思う
イマオカチョフ:どうかな、ペンで書いてて急に見開きで筆、ってとこもあるよね。ああ、話がこんがらがってきた
くつ玉:じゃあ貴族のフェイバリットは
貴族:なんだろう。1巻は大体どれもいいよね。・・・じゃあアンダルシアの夏で。
くつ玉:ああ・・・
貴族:日本でのレースの話はそこまでよくはなかったけど、アンダルシアは好きね。
イマオカチョフ:あの最後のコマはどうだった?
貴族:好き。あの地元なんてどうでもいいよ感を出しながら、けっこう好きだってとこが垣間見えるような感じ。
イマオカチョフ:とかその前の話とのつながりとか…もうとにかく凄いよねあそこは。そういうひっくり返し方、っていうかまとめ方か、があるのかっていうさ。何か分かんないけど、凄いんよ
頼む:アンダルシアの夏はほんと、なんか凝縮してるよね。
たろう:茄子、ということに関しては茄子のピクルスと地元のワインという組み合わせだけで、僕はおいしそうだというか、その地元に根付いていて、旅行したらそんなのに出会えたら楽しそうだなと思ったけど
イマオカチョフ:たろうらしくて愛してる
頼む:うらやましい茄子。ちなみに僕もアンダルシアの夏が一番です。わかりやすいから。
貴族:でもあれだけ『茄子』っぽくないかなぁとも思う。
頼む:そうね。
くつ玉:映画は見ました?
頼む:ん?映画?
たろう:僕は映画みてない。
貴族:映画みてないんよ。面白いと?
イマオカチョフ:見たけど記憶にねえ。面白かったよたぶん
くつ玉:面白いよねえ
頼む:つまり、映画になるくらい、「茄子」の中では汎用性のあるエピソードということだね。物語の起承転結があって、「すべて書いてないけど感じてね」っていう技法もあって
貴族:スタッフが作りたいかつ興業収益でそうな感じだと思う。
イマオカチョフ:あとさあ、話変えていいのかな・・・まあ飲んでるし言うけどさ、女の子が全く魅力的じゃないよね。太いよね
貴族:恋愛の話ないよね。
くつ玉:黒田も恋愛が描けない作家よね。ところで、頼むの話をまだ聞いてなかったね
黒田硫黄の筆のタッチ
頼む:きたな。僕が今日ね、話したいなと思ってたテーマの一つはペンのタッチ、筆のタッチのことなのね。さっきちょっと出てたけど。江戸の話は、やっぱ筆だったよね。あのタッチ。
くつ玉:あれは筆だね
頼む:でも、他の使い分けについては、必然性がわかんなかった。
イマオカチョフ:絵に関しては、あそこっしょ。あの、ゲームしてて、クリアするところ
くつ玉:おーアレ
イマオカチョフ:見開きで急に絵柄が変わるよね
くつ玉:すごい違和感あるよねーアレ
イマオカチョフ:あれもねえ、感動はしなかったけど、面白いなこの人~って思った。簡単に言うと、無茶苦茶なんよね
貴族:わかるけど見開きかーって感じ。
イマオカチョフ:でもなんか成立する気持ち悪さ。アフタヌーンだからできるっていうかね
頼む:露骨だね、あそこは。急に。
イマオカチョフ:意味ないんだけど、何か意味を持たせる感じ。アレがあるから物語っつーか二人の関係とがオーバーラップさせられるっつーか
頼む:ほかの作品でも、いろんなタッチを使い分けてるのかな。
くつ玉:他の作品は・・・セクシーボイスはどうかなー。あれはそんなにタッチが変わったって覚えはないなあ
頼む:短編集、ってことで工夫したんだろうか。遊んだというか。
イマオカチョフ:やりたいことやった、って感じかねえ。俺はここにいますっていう。世界の中心で叫ぶっていう
くつ玉:あの茄子しか冷蔵庫になくて、ビール買いに行く話とかさ、話は全然面白くないけどさ、コマ割りとか、描写とか、カメラのアングルとか、面白いんよねえ。完全に遊んでる感じ。俺の才能をみろっていう
イマオカチョフ:やっぱ映画的なんよね。動きを1コマで描かなくて、数コマにわたって描くやん。書けなくて、かな。ストーリー漫画ではきっと使えない無駄なコマがおおくて。でもそれがいいんよね
貴族:第1話とか女が歯を磨くのになんで4コマも使うんだとか思った。
頼む:歯磨き!多いよね、ぺっ、ってカットが。
たろう:だからこそあの空気感がでてるんじゃないかな。
頼む:最後に主人公のおっさんも歯磨きして終わるやん。あれ、何か狙ってる?
貴族;ぺっって見せるシーンいらんやん。意味もってないやん。ってね。
たろう:意味がない生活のシーンにこそ、生きてることのリアリティがあるとか。風呂にはいるとか。
頼む:生活する気があるっていうことな。人生を投げてない、っていうことか。
貴族:そうなんだけど無駄にフォーカスしすぎな気なとこがあるかなと。
イマオカチョフ:あとね、ただ歩いてるだけとか風景みたいなシーンも多い。映像作品ならあるんだろうけど、漫画ならカットよね
頼む:その辺の表現については、たぶん小説でいうところの「叙事的であることによって抒情的に表現する」というやつだと思う。たとえば「女はほんとうに振り返らなかった」あとに、ふつうはあの爺さんの表情のカットが入るけど、ないよね。あえて外してるよね。今岡でいうところの「映画的」という。映画でもその表情を外していく作品もあるね。
貴族;一番ラストはどうやった?
イマオカチョフ:未来に飛ぶっていう
頼む:オチみたいな。
貴族:全部つながるようとってつけたみたいな
くつ玉:あれはまあ・・・機械が描きたかったんじゃないかな、黒田が。最終回がそれほど意味を持つ作品でもないしなあ
イマオカチョフ:俺はさあ、黒田はこんな視点の転換できますよって自慢的な感じを感じた。達観してんだぜ、これだけじゃねえぞ俺、っていう
たろう:木は植えなくてもいいよねとは思う。
イマオカチョフ:今まで書いたのもひっくり返しちゃうぜ、みたいな
頼む:遊んだね、最後で。最後さえも普通に遊んだ。
くつ玉:うん遊んでる感じはするね
貴族:ひっくり返したとは思わんかったなー。一応繋げとくかみたいな軽いノリかと。
イマオカチョフ:うーん…あれだけ書いて最後未来に飛ばすって、しかも登場人物誰もいねえってあんまないと思うけどねえ・・・まあ普通かなそう言われると
今日を生きよう
頼む;もひとつ言いたいことがあって。さっきの歯磨きの時に出たんだけど、人生を投げてない、生活をしてる感ね。すべてのエピソードで、基本的には腐ってる人、現在を斜にかまえて見てる人が題材なんだけど(たとえば「自分以外は馬鹿と思ってる」)でも、全部のエピソードの読後の感想がスッキリしているのは、たぶん、前向きなんですよ、全員。今を生きようとしているというか。メンドクサイのあの少年さえも。それが一貫してるなーと。
くつ玉:なるほど。僕もさっき、ちょうどそれに近いことを言ってて。登場人物がみんな悟ってる、と。諦念と言ってもいいかな、と。でも前向きなんだよね。人生の残酷さとかを知っていながらもそれでも前向きなんだよねえ
頼む:諦念かー、なるほど。わかんない、ってことをわかってるっていう。今を生きようとしている、というのは後悔してないの、誰も。
イマオカチョフ:俯瞰してるっていうかね
貴族:希望とはちょっと違うよね。
くつ玉:うん、むしろ人生が希望に満ちたものではないことは知ってるって感じだよね
頼む:しかし俯瞰とはちょっと違うような気もする。どうにもならないことがあって、その中でなんとかしようという。超現場主義というか。あきらめてこそ出てくる希望。
頼む:身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ ノモンハン
くつ玉:間宮中尉じゃん
イマオカチョフ:微妙な感じよね…あきらめ、っていうのもなんか。達観、って感じがするんよ
くつ玉:達観ね、そんな感じでもいいかも
頼む:さめてるんだけど、前向きね。それが一貫してるっていう短編集なの。
